昨夜は姜尚中さんの講演聴講のために美浜町へ。暫く前ですが「悩む力」など、この方の著作を何冊か読みました。以前はテレビにコメンテーターとしてよく出ておられました。知的で温かみのある話し方も好きな方です。

 

以下、メモから:

 

#ITの進歩により世の中の速度が上がり、その一方で戦争、インフレ、コロナ禍など、予測不可能なことが次々と起こる現代。まじめに頑張っても報われない、悪人がのさばり、いい人が先に死んでしまったりする不条理としか思えない今の時代。世の中は予測不可能さと理不尽に満ちている。→人はその複雑さに耐えられないので、「わかりやすい単純さ」に頼る。

 

#「単純化したい欲望」は全世界的に起きている現象。多くの人は解答のない事象にイライラする。すっきり明快な答えがほしい。(テレビでクイズ番組ばかりやってるのとか、なんでもわかりやすく簡略化した説明本が売れるのはこのためなのかな?)

 

#しかし、人間や人間が作る事象というのは本来とても複雑なもの。人間には天使のような側面もあれば、悪意に染まる側面もある。人間がもつ複雑性、可能性を否定して一面的な見方に封じ込めようとする考え方こそ差別、偏見につながる。「あの人は〇〇」という普段の会話に何気なく発してしまう言葉。これこそ人の多様な側面を無視している乱暴なまとめ方であると。

 

#差別とは異質なものを炙り出し、一致団結しようとする人間の行動。こういうことをするのは人間はひとりで生きていけないから。昔なら人身御供とか。

 

#人間とはコンピュータ的に0と1のアルゴリズムに分けられるようなものではない。そんなに単純なものなら古今東西の文学は生まれてこなかった。「結論が出ないことを考える、世の中の複雑さに耐えること」が悩む力。悩む力ということは、物事を黒か白で判断するという単純なトラップに入り込まないための方法である。

 

#この不安定な社会に対峙するのが地域の結束、絆である。人間はひとりでは弱い。本当のつながりを持つことで人は強くなる。地域の多様性を担保することが複雑な社会の問題へのセイフティネットである。

 

クローバークローバークローバークローバークローバークローバー

 

普段、もやもや・・っと考えていたことでもあり、それを言葉にされて頷いたり、新たに気づかされる場面が多々ありました。いろんな考え方や意見を聞いてみるのって大事だなと思いました。今回の講演会は美浜町で。さすが原発の街だからなのか立派な建物に設備!そして聴講も無料。せっかくなのでこんな機会はもっと利用しなくてはいけないなって思いました。