19~20本目。
原題:KHANE-YE DOUST KODJAST?/WHERE IS THE FRIEND'S HOUSE?
監督:アッバス・キアロスタミ
授業が終わり、教室で隣の席の子が駆け出して転んだ。その手当をしてやった主人公の少年は、自分のとよく似た彼のノートも一緒に持って帰ってきてしまう。その日も遅刻して、おまけに宿題を忘れて、先生にキツく叱られたばかりの隣の席の子に同情し、少年は自分とはまるで反対の方角に住む彼にノートを届けることにしたのだが……。All Cinemaより
1987年イラン映画。イランって昔から良質な映画が多い印象。そういいながらあまり知りません。有名なキアロスタミ監督の作品がアマプラにありました。この監督の名前を知って30年。やっと作品を鑑賞することに。
主人公の8歳の男の子を始め、登場する子供たちがとってもかわいいのが印象的。女の子の生徒がひとりもいないのは宗教的な理由なのでしょう。あとイスラム社会がこうなのか、昔の田舎だからなのか、とにかく大人が子供に厳しい印象。なんでもかんでも年長者の考えが優先されてて子供はやりにくそう。少子化社会で子供に甘い現代日本の対極にある感じがしましたが昔は日本もこんな感じだったのかもしれません。
友達のことを想って一生懸命にその子の家を探す主人公の男の子が健気です。そしてもうひとつ印象的だったのが映像がとても美しかったこと。イランの伝統的な家屋とそこにある光と影がなす陰翳が独特で。乾いた感じの空気感もエキゾチックでした。最後もよかったです。子供たちの無垢な心と素朴さに静かな感動を覚えるラストシーンでした。
原題:GOOD BYE, LENIN!
監督:ボルフガング・ベッカー
1989年、東ベルリン。テレビ修理店に勤める青年アレックス。彼の父は10年前に家族を捨て、西側に亡命した。一方、母クリスティアーネは、その反動からますます愛国心を強めていく。そんなある日、秘かに反体制の考えを持っていたアレックスが反社会主義デモに参加。その結果、警察と衝突するところを偶然目撃したクリスティアーネはショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。その間にベルリンの壁が崩壊、統一ドイツは資本主義国家となる。やがて8ヶ月後、クリスティアーネは奇跡的に覚醒するのだが…。All Cinemaより
2003年ドイツ映画。自国ドイツのアカデミー賞では9部門を受賞したというヒット作。コメディというけれどちょっと違うかなという感じ。東西ドイツの統一後、喜びと希望いっぱいだった旧東ドイツの人たち。あの頃はメディアも西側の勝利バンザイ!みたいな感じだったけれど、実際には社会のパラダイムがごろっと変わった世界では変化に対応できなくて辛い人たちもいっぱいいたのだろうことが察せられる物語でした。私自身も過去に何度かドイツ人と仕事したことがありますが、時折、ぽろっと出る彼らの発言の中に旧東独出身者に対する侮蔑みたいなのを感じて、内心「えー?」って思ったことがありました。都会の人が田舎の人を小ばかにするような軽いものなのですけど。旧東独出身者でも当時10代とかで若かった人は新しい体制(資本主義)に馴染んでいったと思います。でも、あの時、既に40歳くらいとかもっと年長者だった人たちって苦労しただろうなと。普段考えることのなかった側面だったのでそういうところ考えさせられる映画でした。