ちょうど一週間前の5月8日(日)。洞源寺のツツジを観たあと、近くにある妙楽寺にも行ってみることにしました。ここに来るのは3度目、2年ぶりです。若狭のお寺は多くが山間にあるので今の時期は周囲の新緑がとてもきれい。
下の写真は仁王門に続く参道です。
仁王門は1777年再建とのこと。昔は参拝者が自分の名前の札(シール)を貼っていってたのですね。それぞれフォントが違ってて面白い。いつ頃のものなのでしょう。
門をくぐると杉の木立。ここの雰囲気が一番好き。
境内が見えてきました。手前に鐘楼、その奥に(写ってませんが)地蔵堂、一番奥に本堂があります。
この鐘、関ケ原の戦いから間もない頃に鋳造されたものなのだとか。軽く撞いてみました。優しい音が響き、静かな空間に波紋が広がるのが見えるような気がしました。
地蔵堂。
中の地蔵菩薩様は腹帯をしていることから「子育て地蔵」と呼ばれていて地域からも篤く信仰されているそうです。こんなの見るとご両親やおじいちゃん、おばあちゃんの気持ちが察せられて温かな気持ちになります。
立派な本堂。
鎌倉時代の建立で若狭地方では最古の建物なのだそうです。寄棟造りという四方向に傾斜する屋根を持つ造り。屋根は檜皮葺きです。扉や柱も年月を経た様子が感じられます。
古色蒼然としたこの建物と後ろにある勢いある新緑との対比。
本堂の中は誰もいなくて、置いてあるカセットテープ・デッキのボタンを自分で押して聴く、という形式。なんかここも国宝ではないにしろ、文化財が詰まってます。相変わらず若狭の寺では空間貸し切り。
本堂内は写真撮影できなかったので、パンフレットからご本尊の写真を。仏様は平安中期の千手観音立像。
養老3年(719年)に僧行基がこの山で刻んだ仏様だとのこと。千年以上経過していますが長年秘仏扱い(33年に一度開陳)だったので、状態が非常に良く、金箔もかなりの部分が残ってます。本堂の薄暗い空間で目にする金色の光はなんというか艶めかしい雰囲気。この仏様、24本ある手が一本も欠けてなくて、手に持っているそれぞれの衆生救済アイテムもとても精緻な状態でした。
ここではまだ牡丹の花が咲いていました。寒い山寺だからでしょうか。
本堂から再び外に出て、暫く階段のところに座って目の前の新緑を存分に堪能しました。いまのうちに十分に記憶しておかないと季節はすぐに移ろってしまい、一年後までこの光景も見られないからです。山の中のお寺なので鳥の鳴き声とか風で木がそよぐ音、あと遠くの車が走る音が聞こえてくるだけです。
そろそろ帰ります。下の写真は仁王門を反対側から。参拝の最初から最後まで受け付け以外では誰ともすれ違うことがありませんでした。