4月28日。牡丹の花がきれいに咲いていると聞いて、多田寺に行ってきました。数年前にこられた新しい住職さんがこのお寺を「花の寺」にしようと境内に花を植え続けておられます。
駐車場横にはまだ八重桜がたくさん咲いていました。青空にピンクと緑、春らしいかわいい色の組み合わせでした。
境内にはシャクナゲも咲いてました。
私は昨年までシャクナゲ、ツツジ、さつきの違いがよくわからなかったですが、今回は判別できるようになりました。シャクナゲはブーケみたいに束になって咲くのでひときわゴージャスですね。
今年の春の課題はツツジとさつきの違いを見分けることです。 これツツジの花ですよね。💦 この界隈でもようやく咲き始め、連休中に見ごろを迎えそうです。
手前の赤いのはさつきかな?これもつつじ?
境内各所に牡丹の花が大きく咲いていました。牡丹は一輪あるだけでも存在感がありますがこうやってまとめて咲いているとその場がひときわ華やぐ感じがします。
この地域、山がそこまで迫っていることもあって、鹿の食害がすごいのだとか。せっかく花を植えてもその多くが芽が出たところで食べられてしまうと伺いました。本当だったらもっと境内一面に咲いているはず・・と。
前回拝観に伺った時には見学し忘れていたお庭もゆっくり見せていただきました。ここ、奈良時代(天平)創建の大変古いお寺です。お庭のかたちも山の傾斜のランドスケープをうまく利用して石などがうまく配置されているように思いました。そしてところどころにある巨樹が見事で。めっちゃ歴史を感じます。
境内・書院の玄関部分。小浜城の遺構を移築したものだそうです。ここ以外に小浜城の遺構があるのは若狭高校の門だけとのこと。玄関には牡丹と獅子を描いた松戸が飾ってありました。
本堂内の仏様も見せていただきました。多田寺は奈良の薬師寺、島根の一畑薬師と並ぶ日本三大薬師寺。古くから眼病に霊験があるとのことで多くの参拝客を迎えてきた歴史があるそうです。いまでも時折、目の手術をされる方がお詣りにいらっしゃるそうです。
若狭地方のお寺にいくと、京都などではなかなか見せてもらえない級の立派な仏様と存分に対峙させてもらえます。多田寺のご本尊は薬師如来ですが、手に薬壺を持ってみえません。これは薬師如来像の中でも特に古い型だからだそうで、日本で二体か三体くらいしかないと伺いました。近くでみると衣装のドレープ部分に特徴があるように思いました。これは大陸から伝わってきた時の仏像の意匠にかなり近いものなんだそうです。それだけの古い仏様がこれほど良い状態であるのは長い間秘仏として30年とか60年に一度しか公開されてこなかったからなのだそう。
そういえば、こちらの薬師如来様、前回きた時も思ったのですが、お顔がなんというかとても庶民的なふうなんですね。つい親しみを感じてしまうような。案内して下さった方も「こんなおじちゃんが近所にいそう・・。」って仰ってて。仏様がまだ厨子の中に入っていなかった頃、参拝者が「目がよくなるように。」、「身体のここがよくなるように・・。」と撫でて擦っていたためか、目の部分や体の一部が変色というか木の地がみえる状態になっていました。そんな発見をして、奈良時代から千年以上の間、どれだけの人がこの仏様の前で手をあわせてきたのだろう・・って、ふと考えました。現在、仏像は江戸時代にこの地の藩主だった酒井家から寄進されたという荘厳な厨子に納められています。
牡丹が咲き終わったら、これから芍薬やカキツバタが咲き始めるそうです。近いうちにまた訪れるのが楽しみです。