結構売れてる本とのことで読んでみました。読む前は「三千円というお金があったらどんなふうに使いますか?」みたいなテーマの内容かしらと思ったのですが、ちょっとそれとは違う感じ。ごく普通の家族のそれぞれのメンバー(既婚姉と未婚の妹、おかあさん、おばあちゃん)のお金にまつわるそれぞれのエピソードが描かれています。お金って使うのは簡単だけど管理してないとあっという間になくなってしまう。人物たちの節約法はまねてみたいところも。
この本の最後に書いてある解説部分を読んでみて、お金とは結構シビアなテーマだということを改めて思いました。例えば学生時代の友達。若い頃には仲が良くても、社会に出て結婚したり、子供ができたりして生活環境が変わると、かつて何でも話せた相手との会話がかみ合わなくなってくる。それは既婚や子持ちという「属性の差」というよりもむしろ「経済力の差」であり、経済力によって暮らし方が違うので関心のある話題も悩みも変わってくる、という。かつて非常に仲良かった相手との間に考え方の違いから距離を感じてしまうことってある。もちろん例外はあるけれど。それほどまでに「お金」というものは私たちの人生そのものに影響を与え、生き方を束縛・規定する存在。
小説の中でもうひとつ印象深かったのが、若い人が抱える奨学金問題のこと。今の時代は社会に出たとたん数百万円の奨学金返済という荷を負う若者がとても多いそうです。それが適齢期に異性と出会っても結婚を阻む問題になったりするのだとか。これも今の時代を浮き彫りにしているように感じました。小説自体はハッピーエンドです。そして家族が仲良くあることってとても素敵なことと思いました。
先日、マキノ駅近くで撮影した花。鮮やかな黄色と赤色の組み合わせに思わず歩く足が止まりました。