福知山市にある鬼の博物館に行ってきました。舞鶴の古民家を観に行ったつもりが、せっかく来たのでついでに・・とここまで行くことに。
博物館は山の上にあります。本当に鬼でも出てきそうな人里離れたところ。雪がまだ残ってました。外に出ると冷凍庫の中のような冷たさです。
入り口にある巨大なオブジェは平成の鬼瓦。周囲に比較するものがないのでわかりにくいですが高さ5mもあります。一階建てと同じくらい。130のパーツに分けて日本各地で製作されたものだそうです。越前・福井の瓦屋さんは鼻の下、上唇の部分を担当したようです。
青海波唐破風門。龍と雲と波をデザインした装飾瓦。大分県分後地方特有のもので神社、寺院に使用されているそうです。
この雰囲気、東南アジアにも通じるものありそう。
館内は楕円形になっていて、各地の鬼瓦、日本の鬼、外国の鬼についての展示がありました。鬼瓦から見てみます。奈良の平城京跡から発掘されたものや旧家で使われていたものなど多彩でした。
怖い顔の鬼をなぜ家の屋根に飾るのかといえば、怖い顔で「悪霊を追い払う」という意味があったからなのですね。
おどろおどろしい鬼が並ぶ中、気になる鬼を発見。なんかニョロニョロに通じるキモかわいさ。
日本の鬼展示コーナー。
「鬼とはなにか」という説明が興味深かったです。日本の場合は鬼とは「怖い存在」でありながら同時に「親しみ」「優しさ」を感じる存在だということ。「魔なるもの」である一面、日本人にとって鬼は(祀られざる)祖霊であり神であるという感覚があったから。ナマハゲとか天邪鬼とかそんな感じですね。自分たちの家の屋根に鬼瓦を載せてるのもやはり心底に鬼に対する親しみみたいな感情を日本人は持ってきからだと。
天狗も鬼の一種?
博物館のある大江町は酒呑童子が住むと言われていた場所。酒呑童子はお酒が大好きな鬼の頭領、盗賊の頭みたいな存在です。私は歴史上でもこれに相当する人たちが実際にこの地域にいたのでは想像してます。そして当時の支配層が住む京都の北部という関係性からも、彼らは武力だったり政治力によって追いやられ「悪者」にされたのではないかな?と。歴史というのは勝者が書き換えますから!
いかにも首領って感じ。
般若。
般若はお能に登場する鬼女。女の人は怖い、というのではなくて、封建時代、弱い立場にあった女性の苦悶の表情であるという説明に納得。自由のない息苦しい中世にあって追い詰められた人間の心象ではないかと。
世界の鬼コーナー。東南アジア~インドあたり。
バリ島に行った時、このお面みたいなのをよく見ました。もともとはこれらの国々にも日本と同様、土着の信仰がありました。しかしその後、力のある大きい宗教が入ってきたことで彼らは悪魔、悪霊という「悪者」にされてしまったという。
インドの鬼。
インドネシアにいる子供の鬼。
この鬼、マンガぽくてかわいい。本当に悪さをするのかな。
西洋の鬼。なんていうか・・・クセの強そうな方たち。
彼らもキリスト教が入ってくる以前の精霊信仰の対象だったのでしょう。しかし、「鬼」に対するイメージは世界の国々でそれぞれ示し合わせたわけでもないのに、「角」を頭に生やして「牙」があるという共通点があるところが面白いなと思いました。人間は無意識のうちにそうした特徴に恐怖の感情を抱くのかもしれません。
最近は「鬼滅の刃」のヒットで鬼に対する注目が再び集まっているそうです。博物館の周囲の公園とか神社とか行ってみたかったのですがこの日は天候が悪すぎて寒すぎてとてもそんな気分になれず、そのまま帰りました。鬼博はなかなか面白い場所でした!