飛騨高山の旅2日目。午前中は高山市郊外にある「飛騨の里」を訪れました。

高山駅から車で10分程度の距離にあります。

 

 

ここは自然の中に昔の建物が移築された集落博物館です。愛知県にある明治村みたいなイメージですが、ホテルや教会、役所に監獄などジャンルの違う建物が一か所に集まる明治村とは違い、昔の集落そのものがここに再現されているような感じ。この日の段階では最終日に白川郷ではなく別の場所に行く予定だったので、その代わりに・・とプチ白川郷といわれる飛騨の里を訪れたのでした。晴れ予報の日だったのに午前中は曇り空。なので写真があまり映えてません。

 

飛騨の里はこんな感じで4万坪のエリアに建物が建ち並んでいます。

 

 

地図右下にある出入口から反時計周りに歩きました。先月、京都府南丹市のかやぶきの里でも茅葺屋根の住宅を見てきましたが飛騨の建物は南丹のよりも一回り大きいものが殆どでした。ずっしりと重量感があります。

 

 

 

六地蔵の前を通って地図左側のエリアへ。

 

 

全体にはピークをちょっと過ぎている感はあったものの、この辺は美しい紅葉が視界一面に広がっていました。

 

 

 

 

 

合掌造りの建物の中にも入れます。旧若山家。国指定の重文。

 

 

この住宅は昭和30年代、ダム建設によって水没することになった集落から高山市内に移築されました。材を山形に組み合わせたかたちが、手を合わせて合掌している姿に似ているところから「合掌造り」と呼ばれるようになったそうです。屋根が急こう配になっているのは豪雪地帯なので積雪しにくくするため。どこの住宅でも玄関を入ったところにこのように一階平面図が置いてありました。靴を脱いで上がります。

 

 

居間は大変広いです。囲炉裏の周囲はそれぞれ家族の誰がここに座るという決まりがあったそうで、客人とか家の主人はやはり一番良い位置です。嫁は下位の台所に一番近い席。昔は家長とその兄弟、使用人など数十人が一軒の家に暮らしていました。山間では土地が十分になくて、分家できなかったことと、どこの家でも家内で養蚕をやっていて、養蚕は多くの人出を必要とするものだったからだとか。こういう環境では家を継ぐ長男以外の男性は妻を娶ることもできなかったそうです。彼らの人生は・・ちょっと怖い日本の黒歴史。

 

 

この囲炉裏はどこの家にもありましたが、その真上、2mくらいのところに四角い棚みたいなのが吊ってあります。下の写真は別の住宅で撮影したもの。格子状になってますが殆どの家のものには板が張ってあります。これ、装飾とかではなくて、火棚といって、囲炉裏の熱が上方一直線に立ち上らないよう、板を置くことで四方に分散させるために設置されてます。上階では蚕を飼っていたので、そのためにも寒い冬は熱の拡散が大事だったのですね。熱分散で火災のリスクも低減されます。また格子部分に魚や穀物などの食品を干して、乾燥・燻煙させることもあったようです。

 

 

階段を上がって二階、三階へ。建物全体が大きいためか、これ、やはり南丹で見たのより、柱が太く大きいです。

 

 

天井まであがるときのキザハシ。

 

 

 

釘を使ってないぽいのは地震の揺れを分散させるためなのでしょうか。また、木を組み合わせて縄で縛る、というだけの簡単な工法にみえて、これだけの重量の屋根を支える耐性を持たせているのがすごい。飛騨は結構地震が起こる場所だったと思うのですが、それにびくともしない耐震性を備えているということですね。昔の人の知恵はすばらしい。

 

 

床下貯蔵庫。室(ムロ)。

 

 

藁を叩くやつ。

 

台所の流し。くり抜いた木。

 

 

 

 

旧田口家。代々名主を務めたお宅なので大きいです。入った瞬間、他の家に感じた妙な心理的な圧迫感が少なかったのが印象的です。この家はもともとは飛騨と美濃の境目あたり、下呂から移築したもの。比較的温暖な地域にあった建物なので開放的な造りになっているためですね。たくさんの人が入れるので、寄り合いの場となっていたとか。

 

 

 

下の家、かわいい。屋根を葺き替えたばかりのようできれいですね。

 

 

ここは炭焼き小屋。

 

八月一日家。全く読めませんでしたが、「ほづみ」家と読むそうです。このお家の中には飛騨の冬の生活の必需品であるソリが多く展示されていました。

 

 

 

別のお宅。

 

 

 

 

 

この時点で2時間半ほど経過。12時過ぎです。この日は午後一時からデンマーク建築家のフィン・ユール邸を見学する予約をいれてあったので、途中から急ぎ足になりました。残念ながら時間が足りず、全部の家を見ることができませんでしたが、その頃にようやく空が晴れてきました。

 

ちょっと後ろ髪を引かれながら、次の目的地へ。続きます。