著者はNTTドコモの「iD」、「くまモン」の生みの親であり、「久本本家」、「中川政七商店」などのブランディングなどにも関わったクリエイティブ・ディレクター。私自身の周囲にも服選びやインテリア、会話の内容などなど、大変洗練されたセンスの持ち主がいて、とてもかなわないなあと思っています。こういう感覚は生まれ持った「特別な才能」と思っていたけれど、著者によると、センスとはあらゆる分野の知識を蓄積することで高めることができる能力であるというのです。センスの良さとは数値化できない事象のよし悪しを判断し「最適化」する能力であるとのこと。ちょっとここのところ難しいけれど、常識的な「良いもの」「悪いもの」を知った上で「その真ん中」、つまり「普通」が何であるかわかることがまず最初。その「普通」を定規としてあらゆる事象を測っていくことだというのです。思い込みを捨てて客観的情報を集めること。知識を高めるにはまず王道を知る、今の流行を知る、そしてそこに共通項を探してみる。知識のクオリティがあがればアウトプットの精度も上がるという。先に挙げた私の友人はやっぱり生まれながらにこうした能力を持っているぽいけれど、凡人の私はこうしたら自分のセンスに多少は磨きをかけられるかもしれません。日々いろいろなものに触れ、経験を積んでそこから本質的なものを見抜くことが大事なのかなと思いました。
昨今の風潮をみていると、氏よりも育ちよりも「個人の能力」がものをいう・・みたいな世の中。しかしこうした本が話題になるということは、人が求めているのはそれだけではないのかもしれませんね。前作も読みましたが、第二弾の本書は更にもっと深くつっこんだ実生活での応用的なことが多く書かれていて、勉強になりました。言いにくいことを伝える時とか、ああこんなふうにすれば角が立たないな、って思うような。大切なことは「相手を不快な気分にさせない」。それに尽きる感じがしました。育ちが良いということを親の財力があることと解釈している人とたまに会いますが・・・ちょっと残念な言動が多いです。本当の意味で育ちの良さとは人としての優しさや思いやりが備わっていることではないかな。そういう躾とか教育を受けている人。マナーの本ですが、読んでみて、マナーの枝葉末節にこだわるのではなくてその根本にある人としてのありかたを考えるきっかけになりました。