京都府南丹市美山町かやぶきの里。
ここも事前に調べたわけではなく、歩いていてたまたま看板を見たので入ってみました。
入ってすぐのところはギャラリー兼ショップ。藍染め品や地元作家さんの焼き物がいくつか並んでいました。とっくり、かわいいですね。また藍染めの爽やかな色あいが美しく、もっと観たいなと見学させてもらうことに。
一階奥は藍染めの工房、二階は世界の藍染めの展示がありました。そこにおられたオーナーさんらしき方と少しお話をしました。40年ほど前に京都市内から移ってこられたそうです。自宅に帰ってからいただいたパンフレットをみて、ネットでも検索してみたら、ここは世界的に活躍する作家さんの工房兼私設美術館とのこと。えっ、あの方がご本人だったの。 北米やヨーロッパの美術館に作品が収蔵されているほどの有名な作家さんだそうです。
一階の工房。昔ながらの土間が使われてました。暗い土間に立つと、窓の向こうにみえるなにげない木々の緑がハッとする美しさ。こんな山里で仕事をすることのメリットは自然から多くのインスピレーションを得られることではないかしらと思いました。
これ、藍瓶っていうそうです。ここに布をいれて染めるのですね。
二階は茅葺家屋の屋根部分の構造を裏側からもみれるという意味でとても興味深かったです。1796年(寛政8年)の建物。先の古民家カフェの建物よりちょっとだけ新しいけれど、まだまだどっぷり江戸時代。若狭の棟梁によって建てられた家屋なのだとか。この地域の庄屋さんを務めていたお家だったのだそうです。茅葺きの屋根部分は25-30年ごとに葺き替えするとのこと。後継ぎの息子が結婚したりして、親から子に世代が変わる時に葺き替えたのかもしれませんね。
二階展示室内には世界中から収集された藍染めがありました。藍は日本だけのものではなく世界で使われているもっとも古い染料。英語ではインディゴといいますね。古代エジプトではミイラにも藍の布が使われていたそうです。
下は中国南部~タイ北部に住む少数民族、ミャオ(苗)族の衣装。スカートはろうけつ染め。上着は濃紺に染めた布を豚の血や水牛の皮を使ってぴかぴかに仕上げるという。この光沢はそうやって出すのか・・。
ウズベキスタンの衣装。太陽と月が水面で揺れる情景を表現したものだそうです。
ギリシャのブラウス。19世紀。白とブルーがギリシャぽい。
フランスだったか。どこか洗練された雰囲気。
インドのサリー。緻密な模様の美。
ベトナム北部タイ族の織物。乳児を背負ったり、または布団地として織られたもの。説明を読んでいると少数民族は世界のどこでも、迫害される歴史があり、文化が途絶する危機にも何度も遭遇してます。そんな困難な中でも自分たちの文化をつなげてきた彼らの努力に敬意の念を抱きます。
インドネシアのバティック。ろうけつ染め。その昔、バリ島でお土産に買ってぼったくられた記憶が蘇ってきました・・・。ここに展示されていた布自体はシンプルで上品な感じで素敵。
蚊帳のための麻布2点。江戸から明治期。いまの時代にあっても素敵と思う洗練された柄。昔は家の主婦が麻糸を紡いで手織りしていたのだそうです。一度、私自身も機織り体験をさせてもらったことがありますが、たった10cm織った次の日に身体中が筋肉中になりました。機織りは本当に重労働です。
絣の野良着。各所につぎはぎがあるのがわかります。昭和になって紡績工場ができてからは紺屋さんはどんどん無くなっていったそうです。
各国の藍染めをみた後で日本の藍染めをみるとなんだか不思議な新鮮な感覚。
落穂布というそうです。絹が痛まないように両端に使った木綿のあて布。役目を終えた時に捨てるには惜しい藍布の断片なのでこう呼ぶそうです。
再び、茅葺屋根の内側。こんなになっているの面白い。
特に予定を立てずのぶらぶら歩き。時々こんな素敵な遭遇があって刺激になります。このあと、もう少し、近辺を散策しました。この日もたくさん写真を撮りまして。あともう一回だけ美山のこと書きます。