福井県と京都府の県境近く、福井県おおい町。道の駅に向かう途中、古色漂う不思議な気を放つ神社があるのに気づきました。当初は久しぶりに暦会館を訪れるつもりだったのですが、そちらの神社が気になって、ここへ行ってみることに。場所はこのあたり。
駐車場がありました。ここから見渡す田園風景は濃淡さまざまな緑色が重なる美しい眺め。夏の終わりを感じる風景。
案内の看板をみると、古民家が多く残っているエリアらしいです。そして安倍氏子孫である土御門家の史跡があるらしい。
歩いてみることに。まずは加茂神社へお参りしました。鳥居のところにある石灯篭や狛犬。どれだけの年月をここで過ごしてきたのでしょう。「加茂」という名は、京都に関係があるのかなと思っていたのですが、調べたところ、土御門一族が京都の加茂神社を勧請したそうです。応仁の乱の頃なので14世紀。
鳥居の向こうに見えるのは舞殿。苔むした茅葺の建物です。湿気のある曇り空の日。周囲には誰もいないし、ただただ静かな空間です。
舞殿からまっすぐ伸びる石段の先に本殿。陰陽道宗家・土御門家の領地にある神社だけにいま思うとなんだかある種の気が充満しているような雰囲気がありました。正直、ちょっと怖いような。
不思議な気に圧倒されて、石段を登ろうかどうか躊躇してしまいました。その時、ちょっと不思議なことがありました。どこからともなく黒いアゲハ蝶が飛んできたのです。そのアゲハは私の前方をひらひらと飛び続けました。あ!神社でアゲハ蝶って吉兆だったっけ、これ、神様の「いらっしゃい」の合図?と思い直し。その蝶は私の前方1mくらいのところに移動し、まるで私を石段のほうに誘うような感じでひらひら。石段を登りかけると、一緒にすぐ前を飛びながら蝶も移動してくれます。
石段の上の本殿は木々に囲まれていました。薄暗い空間に灯りが灯されていて神妙な雰囲気でした。ここまで誘導してくれた蝶々もいつの間にかいなくなってる。お詣りしてあまり長居する気にもなれず、石段を降りました。
神社の鳥居を出たところ左側をみると、坂の上に立派な茅葺の建物が見えました。行ってみることに。
坂をのぼる途中、甘い匂いが漂ってきました。その方向をみると白っぽい花が生い茂っています。これはクチナシの花?マスクをしていてもその香りを感じるほど。マスクを外してみたら湿度の高い空気にまじって、むせるような濃厚な甘い香りが。自然の香りは濃い。
到着。この「上から見下ろされている」感・・💦
大きな茅葺の建物です。案内の説明書きをみると、安倍家を代々守護してきた薬師如来をお祀りしているお堂であるとのこと。江戸時代初期の建物です。
さすがに屋根部分は何度か葺き替えているのかもしれません。お堂自体の古色蒼然としたさま。数百年の月日を経てきた風格があります。
お堂の裏、少し先に土御門家の墓所が。
これ以上行くのはやめておきました。ちょっと怖い。そしてリアルな面で熊も出そうで怖い。
歩きます。小さい集落にどっしりとした茅葺屋根のお家が結構あります。住民の方にも会いましたが、ここでは田舎の村でありがちな怪訝な視線を感じることはありませんでした。陰陽師ブームで知られるようになってから、やはり訪れる人が多いのかもしれません。すれ違う人も皆、普通に挨拶を交わしてくれました。ただ、ここはキラキラした観光地とは全く違う空気感がありました。集落の方が日常の生活を送っておられる場所であり、きゃっきゃ言いながら歩くような場所ではないように感じました。
続きます。