少し前にブロ友さんが紹介されていて、興味を持ったので購入し、読んでみました。私の中では「昭和」という時代は人がガサツであった記憶が濃くて嫌でした。現在に至っても郷愁の気持ちで振り返ることはあまりないのだけれど、確かに今の時代よりは人が鷹揚で、振れ幅が広かったようにも思います。いまの時代みたいに表面的でスマートな感じではなくて、感情的なことももっと露骨に吐露する場面が多かったような気がします。そしてバブルが崩壊するまでは「今日よりは明日は更によくなっている」という意識が誰もの頭の隅にあったように思います。消費意欲も旺盛でいろんな面で活気があったなあと。そんなことをいろいろ思い出す内容でした。印象的だったのはヤマザキさんのバイタリティーと旺盛な好奇心、ずば抜けた行動力。幼い頃からそうした資質をお持ちだった上に、この本に書かれている昭和時代の多様性に満ちた経験がいまの彼女を作ってきたのかと感じる内容でした。
「昭和の多様性」という観点とはちょっとずれるけれど、本書の最後のほうにあるヤマザキさんの考察でとても共感した箇所がありました:
西洋では言論や弁証というスキルの高さが指導者に求められる歴史が紀元前から始まっているのに対し、日本では基本的に人前で人の目を見ながらまっすぐに自分の思ったことを発言する、ということは推奨されない社会でありながら、西洋式の民主主義のスタイルを導入している、それが違和感の根源だったように感じている。
日本には本当の民主主義は浸透していないのではないかと私自身も常々思ってました。日本は自分の意見を表明することよりも、周りと同じ意見であることが暗に期待される社会。人との会話でも「あなたはこれについてどう思う?」と聞かれることは滅多になく、「普通こうだよね?」という同意を求める会話がやたら多い。選挙があればその地域や組織が応援している候補者に投票することを求められる。これは田舎に住んでより強く感じます。民主主義よりも全体主義っぽい空気。こうした空気は令和の今でも相変わらず。
もう一冊感想文を書きたいところなのですが今日はパソコンの調子が悪いので、ここでいったん切ってアップします。💦