ここにいまーす。引き続き、常神半島・小川地区散策です。

 

 

地区の鎮守社、小川神社。巨樹が作る木陰にいると湿気を含まない五月の風がひんやりと心地よいです。

 

 

境内の中でもひときわな巨樹。カゴノキ。

 

県指定の天然記念物。説明板によると高さ13m、幹回り5.3mあるそうです。樹皮の成長につれ古い皮が丸い薄片となってまだらに落ちるため、その跡が白い鹿の子模様になることから、この名がついたのだそう。

 

 

とてもカメラのフレームに収まりきらない。💦 樹皮部分は凹凸が激しくごつごつしていて、怖さも感じるほどの迫力です。

 

 

 

 

カゴノキは暖地性常緑広葉樹で、南は台湾エリアに自生しており、若狭湾が北限にあたるそう。この日は更に先にある常神地区のソテツを見にいく予定です。高知県とか鹿児島県とかならわかるけれど、日本海に突出した福井県の小さな半島にこんな南国的な巨樹がたくさん生えていることに何より驚きました。こんなの見ると、えー、本当に福井県?って思ったりする。

 

 

また別の木。こちらはタブノキ。大きい!

 

 

頭上にこんな照明。(゜o゜;


 

ここでも簡単にご挨拶しました。お邪魔してます。よろしくお願いします。と。

 

境内の横にはツツジが咲いていて濃いピンクが新緑の中で輝いてました。

 

 

 

かなり古いけれど、ここにも能舞台がありました。

 

 

 

鳥居の横にもどっしりと巨樹。こちらも幹回り5mはありそうなタブノキでした。


 

神社の横に集会所。ここにも巨樹。

 

 

神社をあとにして集落の外側の道を歩いてみる。

 

 

 

次は集落の中を通っている道を海に向かって歩きました。

 

 

漁村の住宅の特徴は家と家の間の距離がかなり近いこと。自分の家の庇とお隣の家の庇がほぼ重なるくらいの距離感です。歩いていると、台所で食器を洗う音とか、テレビをつけている音とか、生活音が聞こえてきます。多分、ここに暮らしていると集落全体がひとつの親戚・家族みたいな感覚なのかもしれません。隣は何する人ぞ、という都会の感覚とは正反対なんだろうなあ・・。たまに人とすれ違い、挨拶を交わします。なんか緊張するー(;・∀・)。無用にどきどき。💦

 

 

途中で文化財を記す標識を見つけました。室町時代の能面がこちらに保管されているとか。ええ~、すごいなあびっくりキラキラ

・・と眺めていたら、屋内にいらしたご主人が玄関まで出てみえて「興味がおありですか」と声をかけてくれました。

 

 

この集落でこの日に挨拶以外の会話をした唯一の方。お話していたら、なんとなんと、さっきお詣りしてきた神社の宮司さんの家系の方だとのこと。こちらのお宅には750年前の製作といわれる能面が保管されているそうです。

 

若狭地方は遠い昔から能楽の伝統があります。江戸時代もこの辺は酒井家の藩だったので能楽が盛んでした。なので若狭地方の神社には能舞台がセットになっているところがとても多いです。そんな地方の特色もあるけれど、室町時代からのお面があるってすごいこと。普通はこうしたお宝は神社や寺院が所蔵しているます。こうして一般のお宅にあるのは、お家が代々の神職であったためだそうです。ご主人によると、数年前にお亡くなりになった哲学・日本学の大家、梅原猛氏も何度か来訪され、こちらの能面をご覧になったとか。

 

 

玄関にその能面の写真が飾ってあったので写真を一枚撮らせていただきました。翁のお面です。めでたいものですね。昨年、今年はコロナのため中止ですが、毎年この時期になると神社の能舞台で薪能が開催されると伺いました。代々こうした芸事が絶えることなく引き継がれているとはなんとも感慨深いものです。

 

私が小浜からきたことを話すと、ご主人は常神の各集落と小浜とのつながりの話などをしてくださいました。昔は現在のような道路がなかったので、毎日船に乗って小浜の学校まで通っていたこと、なので雨の日は休みになっていたこと(うらやまし)、漁港であがった魚を小浜まで運んでいたこと。常神半島の集落ではたいていの家業が漁業なので、後継ぎの子供さんたちは小浜にある若狭水産高校に通っていたのだそうです。現在は若狭高校と統合されていますが、若狭水産高校は歴史が古く日本でも下関についで2番目に古い学校であったことなども教えていただきました。

 

 

立派なお家かと思っていましたが、おいとまするときにそこが民宿であることに気がつきました!

 

20~30分程度の立ち話でした。それまでは知らない土地に踏み込んだ感満載で緊張感いっぱいでしたが、お話するうちにそれがほぐれる気持ちに。地元のこととかたくさん教えてもらえて楽しい時間でした。


おそらく・・この日の出会いは小川地区の氏神様がつないでくださったのかもしれません。素敵な出会いを振り返って感謝の想いを新たにしてます。ニコニコ

 

 

さて次は常神へ。車に乗ってくねくね道を進みました。続きます。