9~10本目。
監督:小津安二郎
キャスト:佐分利信、小暮実千代、淡島千景、鶴田浩二、笠智衆、津島恵子
ふたりは倦怠期を迎えた中年夫婦。妻・妙子は、お嬢様育ちが抜け切れず、派手に遊び回る毎日。一方、夫・茂吉は生活が豊かになった今でも、質素な生活を続けていた。そんなふたりも、実は互いに理解し合えない淋しさを感じているのだった・・・~Filmarks~
1952年日本映画。人物が話しているときの若干下方からの映し方で、ああ、これは小津安二郎の映画だなあ、ってわかります。もう70年近く前の作品。上流階級出身の女性が多く出てくる設定とはいえこの時代の言葉遣いの美しさ、服装の上品さがとても新鮮でした。小暮美千代、淡島千景とかとても有名だけど全然リアルタイムでは知らない女優さんです。鶴田浩二も写真ではなくて動いているところ初めて見ました。こんな感じの人だったのか~と。他の小津作品では老いた役が多い笠智衆さんがパチンコ屋の主人役をされていたのも味わい深かったです。妻は夫の家での姿、つまり「甲羅干し」の部分しかみてなくて、不満いっぱいなのだけど、夫婦の関係ってこういう気をぬいた部分を見せあえるということなのかも。まったりとしたテンポで日常を描く小津作品の作風はたまにみるといいなあと思います。
あらすじ:慶應義塾大学に入学したことを契機に千葉から上京した主人公が、東京での生活の中で周囲の人々の欲望や裏切りに翻弄され劣等感に苛まれながらも、のし上がり生き抜いていくために奮闘した半生を回想形式で描く。~Wikipedia~
数年前に製作された「東京女子図鑑」のヒットを受けて製作されたドラマだそう。10回シリーズですが一回が30分弱とメリハリあって2日に分けて全部観てしまいました。東京女子図鑑も以前みました。共に感じたのは「競争」。女性は少しでも条件の良い男性を求めて、男性は出世と金を求めて。地方の都市でも競争はあるけれど人口が多く多様な人が集う東京ではそれが更に熾烈なのかもしれません。生きものである限り生存のための競争はDNA的に運命づけられていることではあると思うのだけど、印象的だったのは主人公にはどちらも「人から羨ましがられたい」という欲望が基底にあるところ。その価値観を更に深堀してみると、地方出身だったり、これまでの人生で周辺的な位置づけにいて中心人物になりきれなかった劣等感があったりするのです。「羨ましがられたい」という他者目線の価値観から解放された時に本当に自分の人生に納得できる、充足感を得られるのでは。そんな感想を抱きました。主役の翔太を演じていた竹財輝之助さん、初めて知る役者さんでしたが、20歳から40代半ばまでを演じていてそれがどの年代でも全く違和感なくはまっていたのが印象的でした。