年末年始は特に予定もなく、家で過ごすつもりなので図書館で何冊か本を借りてきて読んでいます。昨日読了したのがこの一冊。今年は曽野綾子さんの著作を何冊か読みました。50歳を超えてから頻繁にアフリカに行っておられたその行動力、人のために尽くす生き方、相手の事情を慮る心遣い・・どれもなかなか真似できないことばかりで、本当に尊敬の念に堪えません。それを成さしめているのは何なのかと考えると、著者ご自身の強い意思力と、他者のために自己犠牲を厭わないキリスト教の思想なのかと思いました。本書では困っている人がいたら著者を含め全力でその人を救おうとする人々の姿が何より印象的。

 

世界を見まわすと、資本主義が発達している国はその殆どがキリスト教国。特にピューリタン(清教徒)によって建国されたアメリカなんかはこうした思想がベースになって近代精神、人権意識、資本主義が発達しました。最近のアメリカをみているとちょっと違うかなとも感じるけれど、キリスト教社会には激しい競争から落ちこぼれた人たち、もともとの弱者を救う思想がセットであるような気がします。「競争」と「無償の奉仕精神」が社会の両輪として機能しているような。

 

競争原理だけを社会システムに取り入れた日本ではそのひずみがあちこちに出ているように思えます。日本人の行動をみていて感じるのは「知っている人や仲の良い人のことは助けるけれど、見知らぬ人が困っていても知らんぷり」というのが結構多いことです。むら社会が機能していた昭和の中期くらいまでは困った時は身内や近所の知っている誰かが助けてくれたと思うのですが、そんな時代でもなくなってきています。この頃は知り合いに対してでも簡単に助けを求めることは躊躇してしまう空気を感じます。

 

最近、ネットで見つけた記事がありました。イギリスのチャリティー団体が行った調査結果なのですが、そこに「過去1か月以内に見知らぬ人や助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」という質問に対し、それにYESと答えた数で、日本は最下位の125位だったそうです。以前も「日本人って知らない人に冷たいよね」という話を誰かとしていたら、「いきなり声をかけて不審者と思われても困るし」といわれたことがありましたが。💦 伝統的なムラ社会が壊れていく一方でそれに代わる相互扶助のコミュニティーが創られることもなく、個々が一層孤立しているのが今の時代であるような気がしています。あれれ、本の感想を書くつもりが随分それてしまいました。このまま投稿します。