暦の上では立冬。一段と秋らしさが深まってきました。
 
 
秋の空がとても印象的だった昨日、近くの博物館で開催されている特別展を見に行ってきました。展示内容は若狭地方で古墳時代に出土した装飾品からはじまり、江戸期にかけての工芸品や衣装、日用品など金を使った品々。
 
 
 
上の写真は展示品のひとつ。撮影はNGだったのでネットからお借りしました。平安時代の蒔絵経箱です。現在は奈良国立博物館に所蔵されている国宝であり、37年ぶりに里帰りというもの。経箱とは経文をいれておく箱のこと。漆皮製で周囲に唐草や蝶が描かれていました。ほかにも若狭地域のお寺の所蔵品が展示されていました。光量を落とした暗めの空間で目にする、抑えた感じの金の輝きはなんともいえない艶めかしさみたいなのを感じます。
 
 
これと併せて、お寺の多い若狭地方ならではかと思うのですが、仏像の展示が興味深かったです。ここでの特筆は「保存状態の素晴らしさ」と、他の地域での展示ではなかなか叶わない「間近でじっくりと見られる」ことでしょうか。平安時代、鎌倉時代の仏様。往時の装飾、彩色が残っているものが多くあります。赤や青や、その鮮やかな色を目にして「仏像というのは黒っぽい茶色」というワビ・サビ的イメージが覆る思いでした。仏様って髭が描いてあったんだ!という新しい発見も。また接近した場所からみて初めてわかるその細工の美しさ。平安期仏像の滑らかな衣装の質感、優雅なドレープ、その内側に感じられる身体の曲線までがとてもエレガントに表現されていて、当時の若狭の仏師の力量を思いました。そして鎌倉期仏像ではこの時代のリアリズムというのか、表情が豊かで、血が通い感情を持った、よりリアルな人間に近い感じが表現されているのです。こんな素晴らしい企画展、京都や大阪で開催したら、すごい人でなかなかゆっくり見れないはず。福井では殆どどこに行っても人がいないので、国宝品の前に立っていても、後から来る人に気遣いする必要もなく、飽きるまで見ていられる。でももったいないです。関西圏の方々、Go Toを利用して、もっと見に来られたら良いのに。