80本目。

 

 

原題:LES AMANTS DE MONTPARNASSE (MONTPARNASSE 19)

監督:ジャック・ベッケル

キャスト:ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ

 

'17年の春、モンパルナス。青年モジリアニは肺結核に冒され、また麻薬と飲酒の中毒でどん底の生活を送りながら、僅かの知己に支えられ画業に取り組んでいた。ある日彼は、ジャンヌ(A・エーメ)という画学生に街で出会い、激しい恋に落ちたが、彼女の父の反対で二人は引き裂かれ、絶望から彼は昏倒した。画壇での唯一の理解者=画商ズボロフスキー(G・セティ)は彼を南仏ニースに静養させ、ジャンヌもそこへ家出して来る。幸福な半年を過ごしてパリに戻った彼を待ち受けていたのは、再びの無理解と屈辱。個展は見事に失敗し、貧窮にあえいで、カフェで素描を5フランで売り歩くうち倒れた彼は、運ばれた病院で不帰の人に。それを看取った冷酷な画商モレルは待ち構えていたかのように、その傑作の数々を買い叩くのだった。ジャンヌに彼の死を告げず……。(~All Cinema~)

 

久しぶりに古い映画を鑑賞。エコール・ド・パリの代表的な画家、モジリアーニを演じるのはジェラール・フィリップ。40年代~50年代のフランス映画界で活躍した正統派の二枚目俳優です。モジリアーニ同様、若くで亡くなっています。彼の死後、60年代のフランス映画界でジェラール・フィリップの立ち位置にいたのが、アラン・ドロンです。

 

実際のモジリアーニも俳優なみの美男子だったそうです。ジェラール・フィリップのモジリアーニは憂鬱で繊細な雰囲気もよく出ていて、うってつけの役だったのではと思いました。彼は凄い才能があったのに生きていた間は世に認められなくて、結核を病み、なかなか人生がうまく行かないのです。でも芸術をとても深い部分まで理解していました。一方で、芸術を金銭にのみ換算して価値を見出している画商やアメリカの富豪が出てきてすごく対照的です。お金はあるのだけれど、その浅さや軽薄さが如実に出ている感じでした。概してヨーロッパの人はいまでもアメリカ人をよく思ってないですが、当時からアメリカ人のイメージってあんな感じだったのかな?と思いました。

 

時には酒に溺れて、恋人に悪態をついてしまう弱いモジリアーニを、健気に支えるジャンヌ。彼女はいいところのお嬢様でした。厳格な両親は二人の仲を認めません。ジャンヌは家を出てモジリアーニのぼろぼろアパートで彼と暮らし始めるのですが、モジリアーニは病が悪化し、外出先で亡くなってしまいます。それを知らず、家で待つジャンヌのもとに画商が絵を買い叩きに現れるところで映画は終わります。夫の死を知らされず、絵が売れることを本当に喜んで涙ぐむジャンヌの姿が最後に映され、なんとも切ないエンディングでした。

 

クローバークローバークローバークローバークローバー

 

 

最近、書店で買った本です。まだ8割くらいしか読んでないのですが、結構売れているらしく、面白い内容です。画家が絵を描く時に対象(人)物の向こうに何をみているのか?そんなことがわかりやすく説明されていました。タイトルの通り、大人が読んでも楽しめると思います。

 

それからもう一冊・・・

 

朝日文庫のシリーズで7冊あります。こちらは初版が1989年と30年以上前の本ですが、このシリーズを読んだら世界の有名な絵画作品について一通りの基礎知識が身に付くと思います。私はこれを学生時代に書店で見つけて買って、以来ずっと大事に持っています。海外旅行に行く前に読んだり、また海外からの美術品が日本にきた時などに読み返してから鑑賞に行きます。新聞記者の紀行記のような感じなのですけれど、教科書的な書き方ではなく、カラー写真も多用され、情感豊かに描かれていて、一緒に旅をしているような気持ちで読めます。

 

私はこの本で、ジャンヌがモジリアーニが死んだ翌日に実家の高い窓から飛び降りて後追い自殺をしたと知りました。彼女はまだ21歳。ゴッホもそうでしたが、彼の作品が世界的に評価されるようになったのは本人の死後のこと。心がきゅっ・・と締め付けられるような気持ちになりました。