今日も窓を開けると熱風が吹き込んでくるような日です。相変わらずStay Homeの毎日。今日も過去の旅を振り返っていろいろ書いてみようと思います。引き続き駄文です。

 

クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー

大学生の頃、友達と二人でインドを旅しました。格安チケットで約20日の旅。所持金わずか500米ドル程度。この金額が現地でのホテル代、移動費、食費などのための分。貧乏旅行です。あの頃はお金がなくても、好奇心の赴くまま、とても貪欲に旅をしていました。

 

まだあまり世界を知らなかった20歳そこそこの当時、初めてのインドは強烈なカルチャーショックの日々でした。一歩外に出ると物乞いや物売りのひとたちに付きまとわれ、もみくちゃにされ、人にはだまされ、バザールでも街中でも至るところでぼったくられ・・・という。毎晩夢にもインド人が出てくるほどでした。でも格安チケットというのは日付を変更することができず、まだしばらくインドにいなければなりませんでした。ああ、もうインド大嫌い・・えーんと思いながら街を歩いていた時、通りがかりの旅行代理店に、カトマンズ行きの格安チケットが出ているのを発見しました。え!ネパールまでそんな安くでいけるの? 確か観光用のビザは空港で取れるはず。もしかしたら、ここよりましかも。そうだ、ネパール行こう!・・・ということで、その場でチケットを買って翌日カトマンズまで飛ぶことにしました。

 

代理店の人曰く、これはキャンセルが出た人用のチケットなのだそう。毎便必ずキャンセル席が出るので朝いちばんに行っておけば確実に乗れる、とのこと。私たちは確実にその飛行機に乗るため、翌朝午前6時にデリー空港にいきました。これでインドともしばらくおさらばだと、意気揚々とその航空会社のカウンターの一番前に並んでいました。カウンターがOpenになり、スタッフの女性にチケットを見せたら、そっけなく「このチケットは使えない」というのです。えええええ?ガーンまたもや私たち、だまされたのん?ちゃんと看板あげている代理店で買ったのに。びっくりびっくり

 

騙されたかも、という疑惑より、いやだ、もうデリーにいたくない、とにかく出国したい、インドから出たい。私たちはそのまま空港内にあるその航空会社のオフィスに向かいました。オフィスにいたおじさんに、事の顛末を話し、ありったけのボキャブラリーを駆使して、ネパールに行きたい、なんとか行けるよう助けて下さい!えーんと訴えました。そのおじさんは別の航空会社なら午前11時の便があるよ、それに乗るか?と。二つ返事でOKしました。案内されたのは初めて聞くブータンの航空会社。というよりブータンという名前の国があったかも?っていう程度しか知らなかった当時。よくわからないけど、またチケットを買うことに。少ない所持金は更に減る。

 

チケットの引換券みたいなのを手にそのまま空港で待つこと数時間。飛行機が飛ばない。気が付くと11時のフライト予定がいつのまにか午後1時に変わっている。こんな便名初めて聞いたけど、本当に飛んでいるの?それに行き先がパロ(ブータンの空の玄関口)ってなんだ?ああでも待つしかないなあ、って待っていました。すると、午後になったら今度はまたもやフライト時刻が午後4時発に変わっているのです。チケットに書かれた航空会社の名のカウンターを探してみたのですが、なんと「チケットカウンターがない」。えっ?!びっくり 今更なんですが、空港内で買ったチケットなので大丈夫だと思ってたけど本当に大丈夫だろうか? そもそもこの航空会社って本当に存在するんだろうか。スマホどころかネットもなかった当時。確認しようにも何も調べる手立てがありません。

 

フライト時刻の2時間前、係員ぽい人がきて、この飛行機に乗る人はここへ来てください~と口頭で言ってます。その航空会社の名が書かれた紙を手にしていて、みていると、それを紐で別の航空会社のカウンターに結んでぶら下げていました。なんかよくわからないけど、こんなこともあるんだ。とにかく存在していて良かった!空港で待つこと約10時間。ようやく飛行機はカトマンズに向かって飛びました。

 

たまたま私たちの席は左側の3人掛けの席の通路側2席。窓際に背の高いオランダ人のお兄さんが座っていました。話をきくとネパールが大好きで何度も来ているとのこと。今回は3週間ほどガイドさんを雇ってトレッキングにいくらしい。旅をしていて出会う欧米の旅行者にはこういう猛者が多い。「デリーからカトマンズに飛ぶ時、飛行機の席はかならず左側、帰るときは必ず右側にしたほうがいいよ」というのです。その理由は飛行機が飛び立って数十分後にわかりました!

 

飛行機がどんどん高度をあげ、その後、安定飛行に入った時、外にみえた景色!

(写真はネットからお借りしました)

 

普段飛行機に乗って窓の外に見えるのは雲か眼下の地上の景色だけです。なのにこの日は高度8000メートルにいる自分の目線と同じところに雪山がみえるのです。「世界の屋根」といわれるヒマラヤ山系です。私が乗っていた時は空には一面雲が出ていましたが、雲の上は晴れ。雄大としか形容できないヒマラヤ山系は視界の続く限り、雲を下に従えるような感じで、悠々とした姿で連なっていました。その雪の輝くばかりの白さを汚すものは何もなく、あまりにも神々しい姿でした。視界に入ってくる白以外の色は青色だけ。他の山よりほんのちょっと高い山が見えた時に、「あれがエベレストだよ」、と窓際に座っていたお兄さんが教えてくれました。私はもう言葉もなくて、ただただ窓の向こうに展開されるパノラマにみとれているばかりでした。このパノラマはカトマンズに着くまで約1時間続きました。一生忘れられない感動的なフライトでした。

 

カトマンズでは1週間ほど過ごしました。当時は物価が激安だったので所持金数万円でも十分足りました。もうひとつ思い出があります。カトマンズからデリーに戻る帰りの飛行機に乗った時になんと吉本の芸人さんたちが同乗されていました。日本人は私たちだけです。「こんにちは!」って挨拶をしたら、ご本人方も、一緒にみえたスタッフの方もびっくりされて、「君ら、自分たちだけでここまで来たん?すごいなあ!」ってえらく感心されてしまいました💦 先方はテレビ番組の収録でこられていたようです。有名な方でしたが気さくにお喋りをしてくれました。そういえばデリー空港に到着した時、そのお二人の入国カードを代わりに書いてさしあげました。もう30年近く前のことです。ニコニコ