駄文です。今年は日本中どこも花火や夏祭りが中止になっていますね。長い人生の中にはこんな時期もあるのでしょう・・と自分で自分を慰めていますショボーン。せっかく家にいるのだからもっと有意義に何かできることはないのかと思いつつ、暑すぎてそれも思いつきません。ほぼ毎日Stay Homeで、ネタもないので過去の旅行のことを振り返ってうだうだ書いてみたいと思います。

 

もう15年くらい前ですが、会社の夏休みに友達と車で高知県に旅行にいきました。途中の徳島で一般道を走っている途中、喉が渇いたので、ペットボトルの飲み物を買うのに、通りがかりのスーパーに立ち寄りました。レジ待ちで並んでいるときにふと、そういえば、徳島って阿波踊りの時期と違う?という話になりました。私はもともと夏が苦手だし、人の多い場所が更に苦手。夏祭りもあまり積極的にいくほうではありませんでした。なので、実のところたいして興味もなく、そういうのがあったよね、という程度だったのですが。友達がなにげなくレジの人に阿波踊りの会場がどこか尋ねると、徳島市内各所で見られるとのこと。その時、私たちの手前でちょうどお会計を終えたばかりのおかあさんという感じの女性が、私たちの会話が聞こえたのか、「現地は渋滞がすごいからこの近くの駅から電車で行ったほうがいいですよ」と教えてくれました。「ああ、そうなんですね。」と私。興味はあったけど、乗り気ではありませんでした。心の中では阿波踊り、一回くらいは観てみたいなという気持ちが40%、いやでも暑いし、早く高知についてホテルで涼みたいっていう思いが60%。ちょっと迷いました。そうしたら、そのおかあさんが、「楽しいからいっといで!でも、電車は一時間に一本しかないし、次のはあと10分で出るよ!」と仰るのです。

 

うーん、それならせっかくだし、行ってみようかな。暑いけど、太陽が沈んだら少しはましかも。「近くに車を停める場所はありますか・・びっくり」って言いかけたら、そのおかあさんが「私が駅まで乗せってったげるわ!後ろに乗っていき!」と。え?でも・・!って一瞬戸惑ったときに今度はレジの女性が、「ああ、それなら車はうちの駐車場に停めってってもらっていいですよ!」ってなんとも親切なことを。地元の方とのほんの1分かそこらの会話だったのですが、この日は急遽予定を変更し、突然阿波踊りに行くことになりました。

 

見知らぬ方に車に乗せてもらい、私たちはもうどこだったか忘れたけど、どこかの駅から徳島市内行きの電車に乗りこみました。1時間くらい踊りをみたら帰ろうか、って最初は思ってたのですが、現地に着いたら空気が一変。お腹に響く太鼓の低音、甲高い鉦の音、歯切れ良い三味線、踊り子たちの元気な掛け声に数多の観客の歓声がまじりあってものすごい熱気です。やっぱりLIVEの世界は違いました。街全体のエネルギーレベルがぐぐっと上がっている感じです。現地の空気に囲まれたら、当初の私のあの「やる気のなさ」はなんだったんだろうと思うくらい、テンションが上がってしまいました。市役所前に設営されていた有料の演舞場でも踊りを観てきました。しなやかで美しい女踊りやユーモラスな男踊り、その中でも歴史ある連の踊りは圧巻でした。おなじ阿保ならおどらにゃソンソン、っていわれるだけあって阿波踊りは参加型のお祭り。私たちも即席でその場で踊りの中に入れてもらって一緒に踊ってきました。結局この日は電車ぎりぎりの時間まで徳島で過ごし、高知のホテルについたのは午前1時を周っていました。初めての阿波踊りは本当に楽しい経験だったので、翌年の夏は事前に計画して、開催4日間のうち2日間、このお祭りを観に行きました。

 

もし当初、車で最寄り駅に行ってたら・・・テンションの低かった私のこと、車を駐車するところがないから、と多分、そのまま徳島までいくことなかったと思います。きっちりかっちり予定を詰め込んでなかったことも幸いしました。机上の計画はほどほどにしておいて100%予定通りにしようと思わないほうが、旅は面白いことが多いかもしれません。

 

そしていまでも覚えているのはそのスーパーの駐車場、夜遅い時間に戻ったら、既に閉店時刻を過ぎて灯りも全部消えていましたが、一か所だけロープをかけずに車を出せるようにしてありました。地元の方の温かい心遣いをいまでも思い出します。