64~66本目

 

原題(英題):The Death of Stalin

監督:アーマンド・イアヌッチ

キャスト:スティーブ・ブシェミ、サイモン・ラッセル・ビール、バディ・コンシダイン、ジェイソン・アイザックス

 

1953年、ソ連の最高権力者スターリンが死亡。“粛清”という名の大量虐殺による恐怖で全てを支配してきた独裁者だ。今こそ彼の後釜につくチャンスだと色めき立つ側近たちの、互いを出し抜く卑劣な駆け引きが始まり、権力バトル開始のゴングが鳴った!~Filmarks~

 

2017年フランス・イギリス・カナダ・ベルギー合作。この作品、鑑賞し終えて間もないのでまだ印象が鮮烈なのですけれど、めっちゃ面白かったです。内容が過激すぎてロシア国内では上映禁止になったそうです。ものすごくブラックなコメディなのですが、ここで起こっていたことが、あながち嘘ではないということを考えると、おぞましいものです。「笑いながらぞっとした」という誰かのレビューを読みましたが、本当にそんな感じです。俳優さんたちも超一流どころがそろっていてとても見ごたえがあります。トップを狙う人たちの勢力図はまるで猫の目のようにくるくる変わります。その末、フルシチョフがスターリンの後継の座につきます。最後のシーンも印象的でした。クラシックコンサートで演奏に聞き惚れるフルシチョフの背後にいる側近に不敵な表情の人物が・・と思ったら、ブレジネフと思われる人が。権力闘争がまだこの先も続くことを示唆する終わり方でした。北朝鮮が三代にもわたって権力移行システムをきちんと作り上げているのは、ロシアのこんな歴史を反面教師にしているからなのでしょうか。

 

 

原題(英題):L'insulte/The Insult

監督:ジアド・ドゥエイリ

キャスト:アデル・カラム、カメル・エル・バシャ

 

キリスト教徒であるレバノン人男性とパレスチナ難民の男性との口論が裁判沙汰となり、やがて全国的な事件へと発展していく様子を描く。~映画.com~

 

レバノン・フランス合作。英題の意味は「侮辱」。きっかけは工事現場での些細な口論。それが当事者の思惑とは裏腹に宗教的対立が絡む国を揺るがす法廷争いに展開していくストーリーです。レバノン映画としては初めてアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされました。こんな映画を観るたびに自分がどれだけ世の中のことに疎いか痛感します。オーストラリアに住んでいた頃、レバノンから難民できている人たちを周囲に多くみたけれど、レバノンという国が18の宗派をもち、多様な人種が暮らす、これほど複雑な国だったとは。ガーン とても緊張感を覚える経過でしたが、最後の二人の主人公たちが見せた表情に救われる思いでした。

 

 

 

原題(英題):Her er Harold

監督:グンナル・ビケネ

キャスト:ビョルン・スンクェスト、ビョルン・グラナート

 

IKEA創業者の誘拐を決意した小さな家具店主が巻き起こす珍道中を描いた、ノルウェー製ヒューマンドラマ。ノルウェーの街で40年以上にわたって小さな家具店を営み、クオリティの高い家具にこだわり続けてきたハロルド。ところがある日、店の目の前に家具販売チェーンIKEAの北欧最大店舗がオープンし、ハロルドの店は閉店に追い込まれてしまう。~映画.com~

 

2014年ノルウェー映画。正直なところ、そんなに面白い・・という感想もなく観終えてしまったような感じです。でも人物らの会話で印象に残った場面がありました。一方は大手家具チェーンの進出で店をたたまざるを得なくなったハロルド、もう一方はその家具チェーンの創業者、成功者でもあるカンプラード。一見、社会的には敗者と勝者との対照的な立ち位置にいるのですが、二人とも同じように人生に後悔というか悲しみを抱えているんです。私も時々、過去のある時点を振り返って、あの時違う人生を歩んでいたらどうなっていたかなあ、、と思う時があります。たとえ違う人生を選んでいても、その人生でもやっぱり同じような別の後悔があったりするんじゃないかな、と思いました。人生というのはそういうものなのかもしれません。