40~41本目。

 

 

原題:Crow's Egg

監督:M.マニカンダン

キャスト:ラメーシュ、J・ヴィグネーシュ、

 

2014年インド映画。インドのスラムに暮らす幼い兄弟たちが夢見るピザを食べたみたいと、奮闘するストーリー。アマゾンプライムで見つけるまで、この映画の存在さえ知らずにいましたが、とてもいい作品でした。

 

最近、何の偶然かインドを舞台にした映画やインド映画をみる機会が多いです。日本で紹介されるものは秀作が多いと感じていますが、その殆どで登場人物や設定がインド社会カーストの結構上のほうにいる恵まれた人たちに焦点があてられているように感じていました。かつて旅したインドでは街中に無数にスラム街が広がって、びっくりするほどの格差が存在していました。そこで暮らす人たちは肌の色や顔つきまでが全然違うんです。そういうのって日本のテレビ番組や映画で紹介されるのをあまり見たことがないのですが、この映画にはそうしたカーストの下のほうに暮らす人々の生活が描写されていたように思います。

 

インド旅行時、街中を歩いていると、どこからともなく現れるスラムの子供たちに囲まれて、お金をせびられたことがもう数えきれないくらいありました。この映画に出てくる子供たちはそうした行為を是とせず、自分たちの力で働いてピザを手にいれようと頑張るんです。これは映画の設定だから? いやそれでもその健気に頑張る姿がとても印象深かったです。彼らを利用しようとする狡猾な大人もたくさん出てきたり、裕福な家の子供の姿が対照的に映し出されたりするのですが、この兄弟は親や祖母を思いやる気持ちとか、自分たちより弱者にあるものへの心遣いを忘れてないんです。これが原題にCrow's egg(カラスの卵)とつけられた意味かなとも思いました。紆余曲折の末、兄弟は念願のピザを口にすることができたのですが・・・その時の彼らの感想を亡くなったおばあちゃんに聞かせてあげたかった!観終わった後、なんだかほっこりします。

 

 

 

原題:Viceroy's House

監督:グリンダ・チャーダ

キャスト:ヒュー・ボネビル、マニシュ・ダヤル、フマー・クレイシー、ジリアン・アンダーソン

 

1947年、独立前夜のインドを舞台に、激動する歴史に翻弄された人々の姿を描いたヒューマンドラマ。最後のイギリス統治者として、インドのデリーにある総督の家にやってきたルイス・マウントバッテン。宮殿のように豪華な総督の邸宅では、ヒンズー教、イスラム教、シーク教などさまざな宗派の教徒たち500人が使用人として階下で働き、ルイスと家族が暮らす2階では、政治のエリートたちが、独立後に統一インドを望む多数派と、分離してパキスタンを建国したいムスリムたちとに分かれ、連日連夜の論議を続けていた。そんな日々の中、使用人のインド人青年ジートと令嬢秘書のアーリアが、宗派の違いを超えて惹かれあうのだが……。~映画.com~

 

2017年イギリス映画。これもたまたまインドを舞台にした映画でしたウインク。この作品すごく良かった!ガンジー、ネルー、ジンナー、マウントバッテン卿などが出てきて、インド独立時、各国の思惑が交錯する様子がわかりやすく描かれています。大英帝国がかつての栄光を失いつつあることがそこかしこに感じられるものの、やっぱりイギリスの政治家は一枚も二枚もうわてであったことを再確認してしまいました。そして歴史が美しい理想だけでは動かないという悲しい現実も。

 

歴史的人物らのかかわりと並行して描かれるのが、ヒンズーとムスリムの違う出自にある恋人同士の姿。政治の問題に宗教が絡み、そこに大国が関与することで、多くの人々の運命が翻弄され、悲劇に巻き込まれてしまう物語が同時に展開していきます。インドが独立時にパキスタンとインドに分かれた時、非常に多くの人々が住居を強制的に変えさせられ、憎しみの方向が違う宗教の人にいってしまい、虐殺や多くの悲劇が起こりました。この映画監督の祖父母はこの悲劇に巻き込まれたひとたちだったそうです。映画の中からも人々の悲しみや慟哭が伝わってくるようで、歴史をとてもリアルに感じる作品でした。泣けます。

 

総督の妻役の女優さん・・あの「X-ファイル」のジリアン・アンダーソンでした!懐かしかった~!コロナで家に籠っていて時間のある人にはぜひ見てほしいなと思います。