今年の展示件数は41件。宝物は全部で9000くらいあるらしく、一生かかってもこのペースでは全部目にすることはできなさそうですね💦 このポスターをみて、数年前と変わったと思ったのは外国語表記です。以前は小さい文字で英語表記があっただけでしたが中国語、韓国語も増えていました。海外からの観光客が増えて展覧会自体も国際化しているのでしょうか。日本の有田や伊万里などの焼き物や浮世絵がヨーロッパでマイセンやロイヤルコペンハーゲンなどの絵柄に影響を与えたように、正倉院の御物には中国や朝鮮半島の影響を各所にみることができ、中国や韓国の人からすると自国の文化が別の土地で変容していった様子をみるのはこれまた興味深いことではないかなと思います。

 

 

初めて正倉院展を観に行った時は2時間も並んで待って、会場に入ってからも人と人の間からかろうじて展示宝物をちらっと見る、という程度でした。4時頃に入ると比較的すいています。夕方4時半くらいからはオータムナイトの割引時間になるのでこれまた行列がしっかりできているのでこの時間帯はかなり貴重な感じがします。入り口で貸出されているオーディオガイドも必ず借りています。

 

今回の展示品の中で印象に残ったもの(写真はネットからお借りしました):

螺鈿箱(らでんのはこ)。20年ぶりの展示です。

 

 

黒漆の抑えた艶がとても美しく、全く劣化が確認できないほど!

 

献物用の台。

 

彩色が施され、これも非常に美しいと思いました。赤、黄、緑といった色使いは大陸の様式そのもの。この時代、奈良の人口のどれくらいが大陸系の人たちだったのかしら。

 

儀式の時に天皇が履く靴。

 

2014年にも展示されており、これは記憶にありました。外側はスエード状で赤く染めた牛皮、内側には白い鹿皮を使ってあります。使用されたのは天平勝宝4年(752年)の大仏開眼会の時だそうですが、やはりそれだけの年を経ていることが信じがたいほどです。この靴のほかにも天皇が使用したという椅子や衣装、寝台などが別の年に展示されていたことがあるのですが、どれもとても大きく、これから想像すると着用、使用する人物は180センチくらいはゆうにあったのではないかしらと。

 

当時の装飾品の断片。

 

細工が精緻で美しい。他にも淡水真珠やビーズを使ったネックレスなどもありました。素材は国内外の様々なものが使われているらしく、当時の国際色豊かな奈良の様子が想像されます。前日、JR奈良駅を降りた時、周囲の外国人観光客の多さに驚きましたが、1200年前の昔も同じようなものだったのかしらと。照れラブラブ

 

これも印象深かったもの。

 

鹿のレリーフが中央にあしらわれた銀皿。φ60センチの大きいお皿でした。鹿の角が花の形をしてます。霊獣みたいなイメージなのか。これは中国・唐で製作されたとみられているそうです。

 

私が個人的に一番面白い!と思ったのがこれです。

 

 

展示されていた古文書の余白に描かれた似顔絵?当時の役人か誰かが暇つぶしに同僚の似顔絵を描いていたのではないかというもの。精緻をこらした儀式用の宝物はそれは素晴らしいものばかりでしたが、なんだかこの絵をみているとこの時代に実際生きた人の気配がすごく感じられて。よし、こいつの似顔絵を描いてやろう、みたいな感じの遊び心で誰かがちょいちょいと描いたものかもしれません。かっと見開いた目、大造りの顔のパーツ、肩をいからせた姿形、隆々とした腕の筋肉など・・人物の特徴がうまく捉えられていて、他の展示品のどれよりも場面の空気が伝わってくるように感じました。描いた人も描かれた人も遠い昔に世を去って存在していないのに、気配だけが1200年もの時を超えて残っていることがとても不思議で。

 

一通り、観覧を終えてから併設されていたお茶席で休憩をしました。

 

 

 

ちょうど夕刻。博物館の前の池に映り込む夕焼けがとてもきれいでした。

 

 

奈良公園の鹿たち。

 

 

売店のレジ前に一匹。

 

餌をおねだりしているようでした。