81~82本目。

 

 

監督:是枝裕和

キャスト:ベ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、寺島進、オダギリジョー

 

女性の「代用品」として作られた空気人形ののぞみに、ある朝「心」が芽生え、持ち主の秀雄が留守の間に街へ繰り出すようになる。そんなある日、レンタルビデオ店で働く青年・純一に出会い、密かに想いを寄せるようになった彼女は、その店でアルバイトとして働くことになるが……。~映画.com~

 

2009年日本映画。心を持ってしまった人形を韓国の女優さんが演じています。ありえない話なのですが、なぜか受け入れて観てしまった・・・真顔 舞台は都会の片隅、たくさんの人物が登場します。一見、すぐ近くに誰かがいるのに、実際には全員が誰ともコミュニケーションしていない。人間関係の煩わしさから逃げたい現代社会には人は点と点でしか存在しなくて線のつながりがないのです。この作品のテーマもまた「孤独」なのか。このお人形さんは空気で膨らますのですが、中身が空っぽな社会を寓話化しているしているようにも感じました。モノにも心があると考えたのが古代の日本人ですが消費文明の世になってからそんな心も薄れてしまったかのよう。いろいろと見方によって社会へのメッセージが見えてくるような作品でした。

 

 

 

原題:Alive Inside

監督:マイケル・ロサト=ベネット

 

近年、医学的にも注目されるようになった認知症やアルツハイマー患者への音楽療法を題材に描き、2014年サンダンス国際映画祭ドキュメンタリー部門で観客賞を受賞したドキュメンタリー。特効薬もないままに患者数が爆発的に増え続け、先進諸国で社会問題となっている認知症やアルツハイマー病。アメリカのソーシャルワーカー、ダン・コーエンは、患者が自分の好きな歌(パーソナル・ソング)を聞くことによって、音楽の記憶と一緒に何かを思い出すのではないかと思いつく。早速その療法を実行に移してみると、娘の名前すら思い出せずふさぎこんでばかりいた94歳の認知症男性ヘンリーが、好きな曲を聞いた途端に陽気に歌いはじめ、仕事や家族のことまで饒舌に語りだすという効果が表れた。さらに他の患者たちも、この音楽療法によって劇的な変化を見せるように。人間が失われた記憶を取りもどす奇跡の瞬間をとらえ、新たな治療法の可能性を探っていく。~映画.com~

 

2014年アメリカ映画。原題の意味は「内側では生きている」。認知症やアルツハイマーなどの病で外部との意思疎通の能力を失ったかに思われた患者が、自分の好きだった音楽を聴くことで文字通り「生き返る」ような様相を見せるんです。まるで萎んで枯れていくだけの花を水切りしてみたら再び生気を取り戻し、再び花弁が開いた!みたいな。 まだ解明できていないけれど音楽と脳の仕組みとの間に何か関連性が存在していて、音楽は脳の奥深くに埋もれていた記憶を蘇らせ脳を活性化させる働きがあるのかもしれません。私自身も昔よく聴いた音楽を何十年経った今、聴いてみると、すっかり忘れたと思っていた当時の感情とか周囲の環境とか芋づる式に思い出すことがあります。そんな感覚なのかもしれません。でも現実問題として音楽療法はまだ認知度が低く、国は1000ドルの薬には保険適用を認めても30ドルの音楽プレーヤーは認めないのだそうです。人が最期まで尊厳をもって生きられるよう、この分野の研究には進展を願いたいところです。