77~78本目
監督:荻上直子
キャスト:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ
フィンランドの首都ヘルシンキの街角でオープンした小さな食堂を舞台に、3人の日本人女性が繰り広げる穏やかな日常を綴ったドラマ。
2006年日本映画。昨年の今頃もそうでしたが、暑すぎるこの時期は用事のある時以外はこもりっきりです。
しばらく休んでいた映画生活を再開することにしました。13年ぶりに「かもめ食堂」を観ました。
淡々とストーリーが進む大きな山も谷もない内容ですが、この映画の世界観はかなり日本人に影響を与えたのではないかと思います。カフェの佇まいとかインテリアとかこの頃の日本では各所で見かけます。この作品にインスパイアされたカフェオーナーさんが結構いたのではないかと。私自身は当時はあまり興味がなかったイッタラ食器にその後とてもはまってしまいました。フィンランドにあるかもめ食堂で供される料理は大半が和食。イッタラ食器は和食にもとてもマッチしているな~と感じました。
また、この作品が映画館で上映されていた頃に私自身は名古屋から三重に引っ越しました。フルタイムで働いていてあちこち出張も多く、休みもなかなか取れず体調を崩しがちだった頃。映画の登場人物たちのスローライフを見ながら、日本にいる私には縁のない生活だな~と思いながら見ていました。13年後の今、福井の山と海に囲まれた土地での専業主婦生活。この映画のテンポを特別スローにも思わない。結構これに近いゆるい暮らしをしているようになりました。えらく身近に感じる。人生は予測し難い。
監督:是枝裕和
キャスト:阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、樹木希林、原田芳雄
ある夏の日、元開業医の横山恭平とその妻とし子が2人きりで暮らす家に、次男の良多と長女のちなみがそれぞれの家族を連れてやって来る。何気ない団欒のときを過ごす横山一家だったが、この日は15年前に亡くなった長男・順平の命日だった……。
2006年日本映画。もしまだ20代くらいだったら関係のない世界を見ているように感じたかもしれない。しかし年老いた両親を持つ世代にとってはかなりずっしりと来る作品ではないかと。まるで自分たちのすぐ近くにいるような人たち。あるいは自分の家族ではないかと思うような既視感。それだけにリアリティがものすごくありました。主役は阿部寛さんのはずなのだけれど樹木希林さんの存在感があまりにも圧倒的で。樹木希林さんはきれいごとばかりではない人間の心の暗部をさらっとした言葉で表現してしまう人。彼女なくしてはこの映画は成立しなかっただろうとも感じました。亡くなられてからこんなすごい俳優さんなのだったと思うばかり。最後の場面、次に会うときを楽しみに待つ老父に対し、「もう次は日帰りでいいよね」とバスの中で話す子供夫婦。老いることの哀しみも伝わりました。親孝行はいまのうちに。