
昨日3月2日は若狭のお水送りのご神事の日。
3月12日の奈良のお水取りに先立って、
ここから奈良に向けてご香水を流す儀式が執り行われます。
旅の疲れでどうしようかと思っていたのですが
すぐ近くでもあることだし、せっかくだからと
日が暮れてからふらっと出かけてきました。

最初にお水(閼伽水)が汲み上げられる根本神宮寺の境内へ。
時間を間違えていて到着した頃には
既に本堂を火で清める儀式は終わっていました。

境内のほうで大護摩がたかれる直前でした。

ここ、山の中で照明とかなくて本当に真っ暗なんです。
法螺貝の音だけが聞こえていて
古(いにしえ)の荘厳な神事の雰囲気がそのまま残っているようです。
上の写真は大護摩に火がつけられた瞬間です。



最初モクモク・・と白煙か黒煙が充満したと思ったら
一瞬のうちにオレンジ色の炎の色に入れ替わって。
炎は目の前ですごいスピードでうねって上に立ちあがるんです。
ぼっ!ぼっ!という音と共に火柱が大きくなり、
時々ばちばち!という音が聞こえてきます。
生きているようです。
まるで意志ある何かが存在しているような。

昔の人が炎の中に龍を観たとかいいましたが
それが実感できるようでした。

この護摩の火から松明に火をつけて、
2kmほど離れた鵜の瀬という川沿いまで運びます。

個人で松明を持つ人も多く、闇の中に延々と松明の行列が続きます。
しかし、周囲に松明がいっぱいあると
火の粉がパラパラと時々飛んでくるんですね

ダウンコートの表面に飛んできたら焼けちゃうと危惧して
今年は毛布みたいな厚手のジャケットを着ていきました。
内側にダウンのベストを着て、カイロももっての行列でしたが
暖冬とはいえやっぱり冷たい~~






水辺。篝火が水面に映ってこれまた幻想的でした。
ここを流れている水が地下水脈を介して
奈良県まで続いているという。
若狭地方と奈良との強い結びつきを感じさせる話です。


鵜の瀬でも川岸で護摩が焚かれ、炎が立ち上がる中、
神宮寺の住職さんが「お水を送ります」という内容の
送水文を読み上げ、ご香水を遠敷川に流します。
法螺貝が何重にも鳴り響き、このご神事のクライマックスです。

この雰囲気の中にいると、自分が千年以上昔の奈良時代に
引き込まれてしまったかのような錯覚に捉われます。
すごく神秘的な空気に包まれていて。
時々視界に誰かのスマホ画面が光るのが見えて、
あ、やっぱり現代だ、と気づくような(笑)
まあそれにしてもすごい人!
去年はもっと悠々と観れたと思うのですが
今年は写真を撮るのに苦労するほど!

一連の儀式が終わって山伏の装束姿の方々が戻ってみえました。
これに合わせて団体のお客さんたちも戻ってかれたので
人の少ない川岸に降りて、もう少しだけ雰囲気に浸りました。

まだまだ炎は燃え続けています。
春の訪れを告げる若狭のご神事。
これからは一気にこの地方も春めいてきそうです。
