35〜36本目。

監督:西川美和
キャスト:本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル、堀内敬子、池松壮亮、黒木華
人気作家の津村啓として活躍する衣笠幸夫。長年連れ添ってきた妻との間に子どもはおらず、夫婦関係も最近はすっかり冷え切っていた。ところがある日、その妻が旅先でバス事故に遭い、一緒に行った親友とともに亡くなってしまう。間の悪いことに、そのとき幸夫は不倫相手と密会中だった。後ろめたさは感じつつも、素直に悲しむことができない幸夫。そんなある日、遺族への説明会で、幸夫とは対照的に激しく取り乱す妻の親友の夫・大宮陽一と出会う。トラック運転手として働く陽一は、まだ手のかかる2人の子どもを抱え、途方に暮れていた。すると幸夫は自分でも驚いたことに、子どもたちの世話を自ら買って出るのだったが…。〜All Cinema~
2016年日本映画。「2011年の震災の朝、喧嘩別れになってしまった夫婦がいた」ことを知ったことが原作者でもある監督がこの作品を作ったきっかけであったそうです。あまりにも近い関係であると「あとで謝ればいいや」、「そのうち」と思いがち。永遠の別れが二人の関係性が最悪の時に突然やってくるかもしれない、というテーマ。プライドが高くて自分大好きなとても嫌味な感じの主人公(もっくん)が妻の死後、立ち直って成長していく物語でした。妻が死んで悲しいはずなのに泣けない。それは同じように配偶者を失って大声で泣き、怒る大宮さん(竹原ピストル)の姿と対照的。素直に涙を流せたらどれだけ楽だろうと思うけど、心の中には簡単に人に説明できないような葛藤ややましい気持ちがあったりする。人間というのはそんな単純でわかりやすいものではない。そんな複雑というか繊細な心のうちがよく伝わってきました。なかなか現実と向かいあえない主人公が大宮さん家族との関わりの中で、一枚一枚皮をはぐように?変化していく姿がとても印象的でした。

英語タイトル:When The Day Comes
監督:チャン・ジュナン
キャスト:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン、キム・テリ、パク・ヒスン
1987年1月14日。軍事政権の圧政に反発する学生の民主化デモが激化する中、ソウル大学の学生が、警察の取り調べ中に死亡する。報せを受けたパク所長は、すぐさま部下に遺体の火葬を命じる。一方、警察からの申請書の内容を不審に思ったチェ検事は、上司の忠告を無視して司法解剖を強行し、やがて拷問致死が裏付けられる。それでも警察上層部は拷問を否定するも、チェ検事に接触した東亜日報のユン記者によって死因が暴露されると、今度はパク所長の部下2人の逮捕で事件の幕引きを図ろうとするのだったが…。〜All Cinema~
2017年韓国映画。海外にいた頃、年上の韓国人の友人がいました。かつてソウル大学に通ってたという彼からこの話を聞いたことがありました。拷問で死んでしまった友達のこと。その後、独裁政権といわれた全斗煥政権が倒れたこと。映画を観てこんな恐ろしいことだったのかと驚愕しました。1987年。日本ではバブル景気が盛り上がり、社会全体が享楽的な空気に包まれていた頃、隣国韓国では若い人たちが命がけで政治運動に奔走していた。そして民意が国を動かした。韓国ではジャーナリズムがしっかり機能していて、決して御用記者みたいになってないことも印象的でした。そしてこの事件が映画になるくらい時間が流れたのかと感慨深い想いに捉われました。