117、118本目。

監督:森達也
キャスト:佐村河内守
聴覚障害を持ちながら作曲活動をし、“現代のベートーベン”とメディアで賞賛されるも、音楽家の新垣隆氏が18年間にわたりゴーストライターをしていたと告白、佐村河内守氏は一転してメディアの総バッシングにさらされる。森監督は、謝罪会見後、一切のメディア出演を断り、沈黙を続けていた佐村河内守氏の了解を取り付け、その素顔に迫るべく、彼の自宅に乗り込みカメラを回し始めるが…。“ゴーストライター騒動”を切り口に、観る者の善悪や虚実の境界線を揺さぶり、あるいはドキュメンタリーを撮るという行為そのものについても深くて示唆的な問いを投げかけていく。~All Cinema~
2016年日本映画。マスコミに随分叩かれた方ですね。ブロ友さんからお薦めいただいた作品です。
私達は子供の頃から「正義の味方」VS「悪人」という二項対立の構図で世界を捉えることに慣れてしまい、世の中のあらゆる現象を「白か黒か」、「善か悪」かで二分したがる傾向があると思います。でも実際、世の中のことはそんなに簡単に仕分けできない。この映画をみて思ったのは「マスコミの短絡的な色分けに振り回されてはいけない」、ということと、あと「真実は必ずしも一つではないのでは?」ということでした。佐村河内氏の言い分が正しいのか正しくないのかは最後までもやもやとした感じでよくわかりませんでした。ただ、バッシングされていたような悪人ではなさそうです。それからもう一人の当事者である新垣さんへの取材が叶わなかったのが残念ですが、彼の側からの真実というのもあるのでは?と思いました。
とても印象的だったのは外国メディアの佐村河内氏に対する取材の場面です。無駄なことは聞かず、非常に核心をついた質問が次から次へと出てくるのです。それにたじろぐ佐村河内氏。彼は自身の言い分を世間に納得させるなら、あれらの質問に説得力のある回答をするべきだったのではと思いました。
それにしても日本のマスコミは佐村河内氏を笑いものにすることにはあれほど血道をあげていたのに、外国メディアのように冷静な問いを発するものがいなかったのが不思議です。そういう知的なメディアが1つ2つあってもよかったのに。扇動的なスキャンダル仕立てのほうが視聴者を満足させられるからだとすればなんともレベルの低いことです・・・。




原題:Hector and The Search for Happiness
監督:ピーター・チェルソム
キャスト:サイモン・ペグ、トニ・コレット、ロザムンド・パイク
ロンドンに暮らす精神科医のヘクターは、完璧な恋人にも恵まれ、何不自由ない生活を送っていた。ところが、同じように満たされているはずの患者たちの不満や悩みを聞き続けているうちに、自分まで何が幸せか分からなくなってしまう。そこで、本当の幸せとは何かを世界中で調査しようと思い立ち、イギリスを飛び出して幸せ探しの旅を始めたヘクターだったが…。〜All Cinema~
2014年イギリス/ドイツ/カナダ/南アフリカ映画。あらすじを読んだら大方、展開は想像できる、まあまあ楽しめる作品でした。私自身、振り返ってみると寄り道だらけの人生だったので、主人公に重ねて観てしまいました。恵まれた日常を放り出して旅に出たいというヘクターの想いも、いろんな経験をしたからこそ日常の素晴らしさに気付くという結末も、共感をもってみることができました。