111、112本目。

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原題:DER UNTERGANG/DOWNFALL
監督:オリヴァー・ヒルシューゲル
キャスト:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、ユリアーネ・ケーラー

1942年、トラウドゥル・ユンゲは数人の候補の中からヒトラー総統の個人秘書に抜擢された。1945年4月20日、ベルリン。第二次大戦は佳境を迎え、ドイツ軍は連合軍に追い詰められつつあった。ヒトラーは身内や側近と共に首相官邸の地下要塞へ潜り、ユンゲもあとに続く。そこで彼女は、冷静さを失い狂人化していくヒトラーを目の当たりにするのだった。ベルリン市内も混乱を極め、民兵は武器も持たずに立ち向かい、戦争に参加しない市民は親衛隊に射殺されていく。そして側近たちも次々と逃亡する中、ヒトラーは敗北を認めず最終決戦を決意するが…。〜All Cinema~


2004年ドイツ/イタリア映画。観終わってからしばらく茫然としてしまう作品でした。彼の秘書として勤めた女性の証言と回想録をもとに製作された映画なのだそう。当時の状況がとてもリアルな感じで描かれ、あの時、こんなことが起こっていたのかと衝撃を感じながら観ました。追い詰められたヒトラーが冷静な判断力を失ってゆき、直前に結婚したエヴァ・ブラウンと自殺するのですが、映画全体としてはそれ以上に彼の周囲の人々の「その後の数日間」の姿がとても印象的です。

敗戦色が濃くなってきた頃、ドイツ兵たちが酒に逃げ昼間から酔っ払って裸の女性たちと乱痴気騒ぎを繰り返す様子などが何度も出てきます。平素の規律正さとか全く見られない感じで。きりっとした雰囲気のゲッペルス夫人がヒトラーが自殺しようとする寸前にみせるあの取り乱しようはすごかった・・・アセアセ人間って「絶対」と信じていた精神的支柱を失うとこんなにも脆く崩れてしまうものなのかと。あの時見せた彼女の姿はなんだかカルトの教祖を信じ込む信者を想起させました。辛かったのはゲッペルス夫妻が最期6人の子供たちを道連れにする場面。長女はなんとなく感づいていたようですが、母親から無理やり薬を飲まされて殺されてしまうのです。我が子を殺す役割を父親のゲッペルスではなく母親にさせているところにいざとなるとひるんでしまう男性・・というリアリティを感じました。
多くの人が冷静な判断力を欠き、異様な空気が濃厚になっていく中でも冷静さを失わず、逃げず、まっとうな判断をしようとする人もいたところも現実はそうだったのでしょう。

そして何より心にとどめたいと思った場面があります。一部の幹部が市民の安全を確保することを進言しても、ヒトラーもゲッペルスもそんなの関係ないだろ、みたいな態度をとるんです。第三帝国が崩壊したら国民なんて死のうが生きようがどうでもいい!と。ゲッペルスが「我々に政権をもたせたのは全ドイツ国民だ」みたいなことを言う場面があるんです。なんとも勝手な言い分のようですが、でもこれって真理ではないかと思いました。ナチがいたから国が誤ったのではなく、ナチ台頭を許す空気が戦前のドイツに醸し出されていたのだと思うのです。歴史は一部のカリスマが作るのではなく「その時代に生きた人類の意志の総和」だと思うのです。映画の最後の場面で実際に秘書をされていた女性の生前のインタビューがありましたが、「あの時、もっと目を見開いていたら真実がみえたはず」と悔やむ彼女の言葉と共にとても印象に残りました。重い作品ですが、これは一度は観ておくべきではないかと感じました。



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監督:市川準
キャスト:木梨憲武、鈴木京香、中井貴一、江口洋介、橋爪功、トータス松本、小林聡美

竜馬が暗殺されて13年が過ぎた。新政府の役人・菅野覚兵衛は、師弟関係にあった坂本竜馬の十三回忌を催すため、竜馬の元妻である義理の姉おりょうを訪ねた。おりょうは西村松兵衛という冴えない男と電撃再婚し、ボロの長屋で貧乏生活を送っていた。しかし、実はこの時すでにおりょうには竜馬にそっくりの愛人・虎蔵がいた。おりょうは松兵衛と再婚したはいいが、貧乏と退屈な暮らしにすっかり愛想を尽かしてしまい、虎蔵と駆け落ちしようとしていたのだ。覚兵衛は、情けない松兵衛を見かねて、おりょうを取り戻す作戦を立てるのだったが…。〜All Cinema~

2002年日本映画。三谷幸喜さん脚本の映画です。三谷さんの作品の中では・・・ちょっと退屈してしまう作品でした。参考にと他の方のレビューをみてみるとどうも見逃してしまった大切なメッセージもあるようです。アセアセアセアセ 実際のおりょうさんも竜馬の死後は生活に苦労したようです。美人なので寄ってくる男の人は絶えなかったようですが、彼女の気性の激しさ、個性の強さを受け止められるだけの器をもった男性はなかなかいなかったようで・・・。