97、98本目。

監督:赤堀雅秋
キャスト:三浦友和、南果歩、新井浩文、若葉竜也、田中麗奈
親から引き継いだ金物屋を営む葛城清。美しい妻・伸子と2人の息子に恵まれ、東京の郊外に念願のマイホームを建てることもでき、思い描いてきた理想の家庭が完成したかに思われた。しかし清の理想への執着が、いつしか家族を抑圧的に支配してしまっていた。従順に育ってきた自慢の長男・保は会社からリストラされたことを誰にも言い出せず、デキの悪い次男・稔はバイトも長続きせず、“一発逆転”を夢みている。そして清に一方的に言われるがままで、耐え忍ぶことしかできなかった伸子は、ついに不満が爆発、稔を連れて家出してしまうが…。〜All Cinema~
2016年日本映画。無差別殺傷事件を起こし死刑囚となった人物とその家族の物語。大阪教育大付属池田小学校事件を起こした犯人をモデルにしているそうです。抑圧的な父親が支配する家族。全員が精神的に追い詰められ家庭が崩壊していくさまが描かれています。そして次男はとうとう無差別殺傷事件を起こす結果に。なんとも息苦しい重たい空気の作品でした。
・・・が、後で「そういえばやっぱりこの作品はすごいかも」と思ったのは、2時間の間、観ている側の気持ちが画面に惹きつけられたまま、まったく気持ちを逸らされないのです。それぐらい吸引力のある内容でした。あのような異常な犯罪は突発的に起こるのではなく、精神を歪めるような状況が何年も何年も続いた末に引き起こされるのだということを感じました。
ここまでひどくないけれど抑圧的な父親と従順でおとなしい母親という両親の構図は昭和の時代、いまの団塊の世代くらいまでにはわりとみられた家族だったかもしれません。三浦友和の父親、独りよがりで異常にプライドが高くて・・・どこかでこういうひと見かけるかもと思わせるんです。その感覚が余計に対岸の火事と思えるような事件が意外と身近にもありそうという恐怖感を煽りました。
モデルとなった事件については以前、この犯人と獄中結婚をした女性との手紙のやりとりなどを別の本で読んだことがありました。映画の中では犯人となった人物の不安定で躁鬱が激しく、配偶者でもその手が届かなかった心の闇に深く切り込むような描写がなかったのがちょっと残念な気がします。

原題:LA LA LAND
監督:デイミアン・チャゼル
キャスト:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン
夢を追う人々が集う街、ロサンゼルス。女優志望のミアは映画スタジオのカフェで働きながら、いくつものオーディションを受ける日々。なかなか役がもらえず意気消沈する彼女は、場末のバーから流れてくるピアノの音色に心惹かれる。弾いていたのは、以前フリーウェイで最悪な出会いをした相手セブだった。彼も自分の店を持って思う存分ジャズを演奏したいという夢を持ちながらも、厳しい現実に打ちのめされていた。そんな2人はいつしか恋に落ち、互いに励まし合いながらそれぞれの夢に向かって奮闘していくのだったが…。〜All Cinema~
2016年アメリカ映画。ブログのお友達がおすすめして下さった作品です。最後の2割くらいで一気に切ない感情がこみあげてくるような展開の素敵な映画でした。過去をふりかえって「あの時、もしこうしていたら・・・」という別の人生を夢想することが誰にでもあるのかもしれませんね。過去の思い出が美しいのはやっぱりそれが現実にはならなかったから。



別の映画「セッション」のパワハラ音楽教師の役をしていた俳優さんがここでも出てきたのでどきっとしましたが、この映画も「セッション」の監督さんが撮られたものだそうです。映画の中で数多く使われているセンス良い音楽の選曲もそれでかと思いました。