
週末は京都へ藤田嗣治展を観に行ってきました。
今年は没後50年にあたり、
彼の画業をふりかえる大回顧展となっています。

会場は京都岡崎の国立近代美術館。
夕方に行ったためか、心配していた混雑はなく
ガラガラ・・・とまでは行きませんが、周りの人を気にすることなく
ストレスフリーで鑑賞できたのはとてもありがたいことでした。
藤田嗣治といえばエコール・ド・パリを代表する画家のイメージでした。
今回の展覧会では藤田の作品は彼が生きた時代、環境、恋人(妻)によって
都度、大きく画風も変容していたことを知りました。

初期の作品にはピカソやモディリアーニの影響を受けて
画風がそっくりだった絵もありました。
異邦人としてパリに生きる中、
藤田は東洋人としてのアイデンティティを確立していきます。
彼の作品として思い浮かぶのは乳白色の肌の女性の作品。
そして繊細な細い輪郭線。
こうした画風は西洋画の向うを狙った彼の試みだったようで
細い輪郭は墨絵の筆を使っていたのだそうです。

南米ブラジル。カーニバルの祭りの後を描いた一枚。↓

会場には彼が南米を旅行した際の濃い色彩に彩られた作品のほか、
日本滞在時に描かれた沖縄や東北の人々の姿、
日本家屋やちんどん屋、相撲力士の姿など、
また再びフランスに戻ってからの
晩年の宗教画の数々が展示されていました。
これまで良く知らなかった作品についても知ることができ、
大きな収穫になりました。
(藤田のフランス名をレオナール藤田というのは
彼が晩年にキリスト教の洗礼を受けたとき、
尊敬するレオナルド・ダ・ヴィンチのフランス名に
あやかって名づけたのだとか。)
以前、画集でみて強いインパクトを受けた
有名な「争闘」(猫のね!)、
「アッツ島の玉砕」、「サイパン島同胞臣節全うす」
などの作品を直接目にすることができたのも良かったです。
戦争絵画はサイズも大きく、ものすごい迫力。
戦後は相当非難されただろうなということも想像できました。
そしておひさしぶりね!
な絵も。



三重県立美術館所蔵の自画像です。
このにゃんこ、別の絵にも同じ構図で登場していました。



この大回顧展はとても見応えがありました。
作品数もみていて疲れないちょうど良いボリュームだったと思います。
本当はもっと丹念に見たかったくらいですが、
時間が足りず後半はやや急ぎ足での鑑賞に。
もし行こうか迷っておられる方がいたら是非に!と
お薦めしたい作品展でした。
私自身も機会あればもう一度行きたいと思っています。

