
滋賀県守山市にある佐川美術館で開催中の企画展、
「異色の皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展」を観てきました。
昨年から全国3か所に巡回中で、佐川美術館では5月27日まで開催されています。
ハプスブルク家のルドルフ2世(1552-1612)のコレクションは
稀代の収集家、芸術の庇護者といわれた人のものだけあって
多岐にわたり、「異色?ナニコレ?」と思われるものもありで
大変興味深い展示でした。
展示されていた作品をいくつか。
(写真はネットからお借りしました。)
ルドルフ2世。
顎の部分ががっちりしているのはハプスブルグ家のひとの特徴なんだそうです。
そういえば後年歴史に登場する女帝マリア・テレジアや
悲劇のフランス王妃となった娘のマリー・アントワネットも
その肖像画をみると細面というよりは顎ががっちりしてたような・・・(^-^;

ルドルフ2世は1583年に首都をウィーンからプラハに移しました。
私は世界史に疎くて、展示の説明を読むまで知らなかったことがいくつかありました。
この時期、ウィーンからプラハに神聖ローマ帝国の首都が移っていたことも。
首都を移したのは拡張政策をとる当時のオスマントルコに対する牽制だったそうです。
デンマークの天文学者ブラーエや、ケプラーをお抱えにしたのもルドルフ2世。
その後の天文学の発達も彼の時代がきっかけでした。
プラハの宮廷でルドルフ2世は芸術、科学などあらゆる分野にわたって
収集につとめ宮廷に壮大なプライベートミュージアムを築きあげたほどだったとか。
展示品には当時の天体観測機器や大きなウミガメの甲羅
大きな貝を加工した装飾品とか・・・異国趣味というか異色趣味というか・・・?
絵画にしても「女装するヘラクレス」などというものもありなんだか笑えました。

当時の天体観測用機器。
この時代は占星術と天文学との間には明確な線引きはなかったみたいです。

ルドルフ2世は占星術や錬金術にも強い関心を示したらしく。
そういえばプラハに昔、旅行した時に
「黄金の小路」という名の通りが残っていたのを思い出しました。
皇帝が金細工師を住まわせていたことからこの名がついたとか。
皇帝は彼らに金属を金に変える物質を探させたそうです。
後年、カフカがここに住むようになり、現在では撮影スポットになってます。
ブリューゲル(父)の花の絵。

最近、たまたまある本で読んで知ったことですが
この時代の花の絵には決まり事があったそうです。
それは春夏秋冬の花を同時に描かなくてはならなかったとか。
それが意味するところは人間の一生、命は短いということであり、
若くて美しい時間はごく一瞬なのだから若さを誇ったり奢ったりしてはならないという
傲慢(虚飾)に対するキリスト教の戒めだったそうです。
ルドルフ2世に最も愛された画家、アルチンボルドの作品です。

果実と季節の移ろいを司るローマの神様に模して皇帝を描いた作品です。
作品の横にどの部分に何の花や野菜が使われて・・・という説明があり、
みてみるとその種類60以上もありました。
これが貴方だ!といわれて絵を見せられたときに
ルドルフ2世はどんな気もちだったのかとか想像してしまいました。
こういう絵を描く人が重用されたなんてルドルフ2世は好奇心がいっぱいで
ユーモアを楽しめる人だったのかな?とか想像してしまいました。(^-^)
鑑賞コースを一通り終わって外に出ると撮影OKな展示がありました。
アルチンボルドの絵を3D化した?作品が。

順番に春夏秋冬。




小さい子供がみたら泣いてしまうかな? 

館内のカフェでお茶休憩をしました。


パラチンキというチェコの伝統的なおやつがメニューにあったのでそれを。
クレープ状の薄く焼いた生地でクリームを包み、
ベリーの酸っぱいソースがかけられています。
酸っぱいソースは添えてある生クリームやアイスクリームとよく合います。
しっとりとした食感のクレープも美味しい。

目の前には水を張った広い空間があり、
陽光を反射した水の模様がゆらゆらと動いて癒されるようでした。
この後、常設展の楽焼、平山郁夫さんの作品などをみてまわりました。
続きます~ (*^-^*)