
若狭地方のお寺巡りです。
なぜここかという理由は特になく時間のある時に
アトランダムに訪問しています。(^-^;
羽賀寺は小浜市内からちょっとはずれた田んぼが多いエリアにありました。
昔ながらの集落の細い道を通り抜けて到着。
訪れたのは週末でしたが他の参拝客の方とは
途中で1~2組すれ違ったのみでした。

道の両脇に高い木が茂り、ここから望むお寺は深く山に抱かれているかのよう。
お寺に近づくにつれ見えてくる優美なシルエットのお堂。
なんとなく奈良の室生寺の三重塔をみつけた時のような感動が思い出されました。

創建は霊亀2年(初めて聞いた年号!)、西暦では716年です。
鳳凰が飛来してこの地に羽根を落としたという伝説があり
それが寺名の由来になっているそうです。
創建したのは行基だとか。由緒あるお寺なのですね。
何度も焼失、再興されており、現在のお堂は室町時代のもの。
桧皮葺の屋根、軒部分が反った外観は北山文化の建築の特徴なのだそうです。
1436年に奥州豪族の末裔という安倍康季により再興されていますが
この人は安倍首相の遠いご先祖様だとか。
安倍さんもここに訪問されたことがあるそうです。

中に入って拝観料を納めた後、
お堂の内部、仏様の姿を眺めながら係の方が説明してくれました。
わりと事務的に淡々とした対応で
説明の後は自由に拝観して下さいという感じでした。(^-^;

いただいた絵ハガキの写真。
ちょっと歪んでしまいましたが平安初期の木造十一面観音菩薩立像(国指定重要文化財)。
美しい厨子の中に安置されている観音様のお姿。
室内が暗くて実物はここまで明るく見えませんが、
千年も昔の木造なのに当時の極彩色や金箔がかなりの程度で残っています。
天衣の緑色、裾部分の朱色などとてもきれいでした。
お顔はこの寺を勅願した当時の女性天皇、
元正天皇に似せて作られたと言われています。
大きく緩やかな弧を描いた眉とふっくらとした顔の輪郭は柔和で優しい印象です。
こちらも昭和のある時期までは秘仏とされ、普段は厨子が閉められた状態であったようです。
昔の人が滅多に目にすることができなかった観音様のお顔を
今はいつでも近くで拝観できるというのは随分ありがたいことなのだと思います。
垂らした右手が長くみえるのは当時の仏像の特徴だそうで
腕が長いほど歴史が古いのだとか?そんな説明をされていたような。(^-^;
十一面観音の十一面は人間の持つ様々な感情を表しているのですね。
小浜ではどこのお寺もそうですが、遠くから眺めるのではなく、
手を伸ばせば触れられるくらいの距離で仏様を見せてもらえます。
あまり人がこないからこそだと思うのですがこの辺りも貴重なところです。

境内の鐘。一回衝いてみました。
低い音が山に緩く伝わる感じ。

喧騒から離れた(といっても小浜には喧騒自体ほとんどないですが・・・笑)
静かな環境にあるお寺さんでした。
境内にあった大きなイチョウの木は晩秋の頃はさぞや美しい色づきになりそう。
寒くなった頃にまた再訪したいと思います。