
先月の岡山旅行記に戻ります。
倉敷の美観地区にある大原美術館。
白壁の建築物の街並みの中にどーんと構える
ギリシャの神殿を思わせるような石造りの西洋的建造物。
名画がたくさん所蔵されており、ここを訪れるのが今回の旅の目的のひとつでした。
倉敷紡績の2代目社長であった大原孫三郎氏が設立者です。
彼がスポンサーをしていた画家の児島虎次郎氏に収集を依頼。
児島氏は二度にわたって渡欧し、その審美眼でもって
西洋の優れた美術作品を収集してきました。

この美術館が開館した時期を知ってちょっと驚きました。
1930年。前年の1929年はウォール街で株価が大暴落、
日本も世界恐慌のあおりを受けて昭和不況の真っただ中です。
それでも美術館を開館しようとした大原氏の目は更にその先をみていたのか。
大原氏は時代に先駆けて働く人のことを考えて会社の福利厚生に力をいれたり、
数々の改革を行ったり、病院を作ったり、社会貢献に大変力を注がれた人です。
この方の奉仕の精神、数々の功績は本当に素晴らしく
もっともっと知りたいところです。

さてさて大原美術館には本館、分館、工芸・東洋館、児島虎次郎記念館の4館があります。
ここはじっくり時間をかけて周りました。
10年前にも来ているのに、哀しいことに殆どの作品が記憶に残っていませんでした。

印象的だったのはエル・グレコの「受胎告知」。
館内にこの作品のために空間が作られていました。
「受胎告知」はエルグレコの代表的作品で、
日本にあることが「奇跡」といわれているそうな。
パリで高値で売り出されていたのを買ったそうですが
児島氏の審美眼と、それを許可した大原氏の太っ腹具合
その両方ともがすごいなと思いました。
ほかにもマチス、モネ、ゴーギャン、モディリアーニなど。
そして数々の東洋美術作品。
地方の美術館でこれだけの収蔵があるところって
稀なのではないかと思います。

こちらは分館。
大原孫三郎のあとを継いだ長男が1961年に建設したもの。
日本の洋画や現代美術作品が展示されています。
現代美術のコーナーはやっぱり難しいですね。(^-^;
なかなか理解し辛かったです。
次に向かったのが倉敷民芸館。

旧庄屋の米蔵を改造した建物が使われていました。
靴を脱いで板敷の床を歩くのですが場所によっては
ギシギシ・・・という音がしたりします。(^-^;
人々が日常生活の中で使っていたものが展示されていました。
昔のタンスやちゃぶ台、陶磁器、木工品その他いろいろ展示されており
そうした日常の生活の中にある「美」を改めて発見できるような場所でした。
当時の生活を想像しながら観て周りました。
やはり太陽が燦燦と照る岡山だからなのか、
なんだか明るい雰囲気です。
例えば木曽や飛騨あたりの古民家改造資料館だと
木の重さ、暗さを感じるのですが、
ここにはそういう印象がないのですね。

こちらもクラボウの記念館と同じで、入館してから退館するまで
やっぱり私ひとりだけでした。(^-^;
