
最近、江戸時代に興味を持ち始めています。
簡単に読めるエッセイとしてこの2冊を手にとってみました。
著者は田安徳川家第11代当主。
以前、宗家の現当主の方が書かれた著書を読んだことがありましたが
面白くて何度も読み返した記憶がありました。こちらの本も読みやすい内容。
歴代将軍について書かれたほうはちょっと俗っぽい内容でした。
人間くさいともいうべきか。個人的にはライバル敵将編のほうが面白かったです。
戦国時代は武器の争いというよりは
むしろ「建築の争い」だったのではという著者の視点が興味深い。
建築や土木にもセンスが必要であり、戦争は地形がわからないと指揮はできない。
中でも「秀吉の建築家としての才能を評価したい」という一行には思わず納得。
もちろん、大阪城のことではなく、天下人になるまでの彼の戦のやり方(備中高松城の水攻めとか)
などを思い返してみても。。。
この中に取り上げられた戦国武将たちの個性の強さと有能さ、どれもが特筆に値すると思います。
そんな争いの中を勝ち残って最後に日本統一を成し遂げた家康の才能と強運を想いました。

日本には木にも神が宿るという考え方があります。
木は日本人の生活とも深いかかわりを持ちながら歴史を紡いできました。
ここでは各地で有名な巨樹とそれにちなんだエピソードがとりあげられ
生命の不思議さを感じる内容でした。
中でも特に印象的だったのは植物同士は会話をしているというくだり。
たとえばプラタナスなどの木の葉が虫に食われると葉の中にタンニンやフェノールなど
虫を追い払う毒性物質ができてくるそうです。
一本の樹にこういうことが起こった場合、隣の木も遠く離れた樹までもが
同じようにタンニンやフェノールを作り始めるのだそうです。
これは虫に食われた樹が警戒信号にあたる特殊な揮発物質を出すだめだとか。
「虫が来たから気を付けろ」「よーしわかった」というような会話が交わされているのですね。
そういえば別の本で雑木林はバラバラに生えているようでいて、それぞれの木が
うまく調和を保って「森」そのものを守っていると書かれたのを読んだことがありました。
土の下では互いに根を張って山を守っているのです。
そこに戦後数十年の間に人間が勝手に伐採してスギの植林をしたりしたので、
その微妙な調和が失われてしまったと。自然災害が起こった時、被害が大きいところの
様子を注目してみているのですが、やはり人間の手が入っているところが多いのですね。
そう考えると人間の驕りが今日の災害を招いた一因でもあるのではと思ったりします。
私たちは昔の日本人みたいに自然を畏れ敬う気持ちを思い出して
謙虚になるべきではとふと思いました。

昨年の米大統領選の直前にメディア関係者の大半がヒラリー氏勝利と言っていたのに
木村太郎さんだけが「トランプが大統領になるよ」みたいなことを仰っていて、
事実、その通りになりました。長年のジャーナリストとしての経験から得た勘と、
実際に彼の目でみてきたアメリカ社会を観察して
どうして彼がトランプ勝利を確信するに至ったかについて語られた二冊。

佐藤優さんという方の存在を知ってから、この方の著作をたくさん読ませてもらいました。
博覧強記ともいうべき彼の深い知性と教養には驚くばかりですが
この方の言葉からはいつも「誠実さ」と「人間としての優しさ」が滲んでみえてきます。
その佐藤さんが尊敬する吉野文六さんという方は沖縄返還時の密約が存在したことを
政府関係者として初めて真実を公に語った人物。
やろうと思えば闇から闇へ葬ることができたこと。歴史に嘘をついてはいけないという
吉野氏の姿勢にこの方の生きてきた中味、品性の高さが投影されているように感じました。
他に読んだのは以下の通り。今月は13冊読みました。


