
今月はフジ子・ヘミングさんのピアノを聴く機会があり、
そういえば本棚に一冊あったな・・・と探したら出てきたこのエッセイ。
ピアノ・コンサートなどに出かけた時、
パンフレットに印刷されているピアニストのプロフィールを読むと
その多くが裕福な家庭で育ってきているのがわかります。
お金の心配をすることもなく、毎日十分に練習する時間を与えられて、と
境遇にも恵まれているのですね。
フジ子さんの人生はその多くのピアニストらと対照的。
人生の初めから苦労がとても多かった人。
ようやくピアニストとして活躍できるとなった時に聴力を失いました。
経済的に苦しくて砂糖水だけで一週間を過ごしたり
病院で掃除婦として働いたこともあったという。
だから彼女の手はごつごつとして綺麗ではないと。
彼女の演奏についてはネットでは技巧的に間違いが多いとかいろいろ批判的なことが
書かれています。私はテクニックの上手下手まで細かいところはわかりませんが、
実際に彼女を演奏を聴いた時に鳥肌が立つようでした。
ぐっと心に迫ってくるものがあるのです。
これを「下手」という人もいるんだな、と不思議な気分です。
「もしいま人を殺した奴が部屋に入ってきて「助けてくれ」っていったら私は助ける。」
ということが書かれたページに彼女の人間性や価値観をみた気がしました。
運命は自分の力ではどうすることもできない。
一生懸命、こちらがやっても扉が開かない。
だけどその扉がなんらかの力で開くときがくる。
そのときのために準備をしておかないといけない。
チャンスを逃さないように。

新聞の書評で気になって取り寄せた一冊。
マリー・アントワネット関連の本を読むのは池田理代子さんの「ベルばら」、
シュテファン・ツヴァイクの伝記を読んで以来。
彼女が愛用した美術品も紹介されていますが
読後の今、それらはあまり強く印象に残っていないのです。
それら以上に彼女の人生を大きく揺さぶった運命の残酷さのインパクトが大きくて。
彼女がフランスにお嫁入りするまでのヨーロッパ列強それぞれの
お国事情とか勉強になりました。
この女性は他の姉たちのように、あまり強大でない国や小さな公国に嫁いでいれば、
そこそこ安泰に人生を送ることができて
歴史に名前が残ることもなかったのではないかとか思いました。
フランスのルイ16世には当初、彼女のすぐ上の姉が嫁ぐはずだったらしいです。
しかし、運命のいたずらでか、アントワネットがフランスに輿入れすることになりました。
彼女の人間としての器には「フランス王妃」という立場は大きすぎたのではなかったか。
そこへ革命という個人の力では抗えない歴史のうねりが押し寄せてきて。
本書後半、革命がテンポをあげて迫ってくる様子の描写は非常にスピード感がありました。
アントワネットは「わがままで浪費家な王妃」のイメージが強いですが
私は別に彼女が特別愚かで思慮が足りないというわけでもなかったと思います。
彼女程度の贅沢好きなお姫様は今も昔もいると思います。
でも「時代の波」が「敵」、「悪人」となる対象を要求し、
誰もそれを止めることができなかったのではないか。
そんなふうに感じました。
紹介されている美術品の中で印象に残ったのが2点ありました。
1つ目は彼女の姉が描いたというウィーンでの皇帝一家の団らんの姿。
暖炉に火がチラチラと燃えていて母マリア・テレジアが父フランツ一世の近くに寄り添って。
その周囲に子供たちがいて微笑んでいる。ごくごく一般的な普通の家庭の暖かさが感じられるのですね。
それに比べて嫁ぎ先のフランスでの描写を読んでいると
日常生活の全てが儀式化されてとても冷たい感じがするのです。
アントワネットのような女性にはこうした生活様式はなかなか馴染めず、
また耐えられなかったのではないかと思いました。
2つ目は彼女が愛でていた日本の漆器のコレクション。
偽物が氾濫していた時代、彼女のコレクションにはまがい物が一つも入っていないそうです。
アントワネットの審美眼の証明であろうということですが、
育ちの良さはこういうところにも出るのだなとふと思いました。

読後感悪いです。(一一")
女性同士の張り合い・・・なんとなくわかります。
みんなここまで相手のことをチェックして、相手を出し抜こうと考えているのかと。
本書に書かれている内容は多少誇大に書かれていると思いますが
こんな人間関係、何の生産性もなく、ただただ疲弊するばかりです。
女の敵は女。納得できる箇所もありましたが、
小学校から大学まで共学で、社会に出てからも圧倒的に男性が多い職場で
働いてきた自分自身の経験と観察からいうと・・・
個人的な意見ですが男性同士のほうがもっとエグイよ。(^-^;
それに比べると本書に書かれた内容は
女性同士のとてもチマチマした諍いごとの描写という感じがします。
実際は男性の嫉妬のほうが女性のそれを遥かに上回る酷さですし、
ドロドロの度合いも半端ないと思う。

解剖学者、養老孟司さんの本を2冊。
常識というか既成概念を覆されるような感じでとても面白く読みました!
凝り固まった思考を解きほぐしてくれるような感じ。
気軽に読めます。人に聞かれたら、お薦めしたいです。どっちも面白い。(#^^#)
今月読んだほかの本は下記。今月の読書は13冊でした。




