
沢木さんといえば「深夜特急」。バックパッカーのバイブル的な本で、
もう10年以上も前に読んだのですが今も処分せず本棚に収まっています。
この著者が戦場カメラマンであったロバート・キャパについて追いかけていると知り、
手にとってみた一冊です。
ずっと昔、シドニー時代に、現地でカメラマンをしていた友人に薦められて
キャパの写真展を観に行ったことがありました。キャパの名前や業績を知ったのも
実はその時だったのですが、当時はあまり興味がなくてなんかスルーしていました。(^-^;
彼の非常に有名な作品、スペイン内乱で撮影された「崩れ落ちる兵士」、
実はこれはやらせかも?という話があって、その真贋を著者が追いかけていく
構成になっています。
まずは、の感想として、私はこの写真の真贋よりも、「真実は何か?」を追及し続ける
沢木さんの半端ない情熱に感銘を受けました。
非常に優秀な刑事さんが事件の真相をみつけるために
いろんなところから詰めて、じわじわと真実に近づいていくような感じ。
作家ならではの視点からキャパの内面、心情についての考察も興味深いものがありました。
そして時に報道写真は、一旦撮影者の手を離れて世間に発表されると
その撮影者自身が予期しなかったような展開になるものだと。
キャパの恋人で同じく戦場カメラマンを志していたゲルダ・タローの存在も初めて知ったのですが
彼らの関係はどこか昔、映画でみたロダンとカミーユ・クローデルの関係を想起させるものがありました。
そういえば硫黄島を陥落させたアメリカ兵が星条旗を打ち立てようとする場面の写真も
世界的に有名なものになっていますが、それが撮影された経緯も本当に全く意図していなかった偶然から。
運命の不思議さを感じる内容でもありました。
ゲルダもキャパも日本や日本人と縁があったことも初めて知りました。
ゲルダの苗字タローは当時パリに留学されていた岡本太郎さんから取ったものだそうです。(^-^;

今月でもう何冊目かな。半藤さんの本を今月は2冊。
私は気になる作家をみつけるとその方の著書を一時期そればかり・・・10~20冊くらい読んでしまいます。
一番たくさん読んだのは司馬遼太郎さんで多分150冊くらい。山崎豊子さんで30冊前後、
吉川英治さん、山岡荘八さんもそれぞれ30~40冊前後・・・。
浅見帆帆子さんや佐藤優さん、天外伺朗さんも20冊程度は読んだと思います。
これくらい読むとそれぞれの著者が持つ考え、価値観がよく見えてくるように思います。
昭和史は今回は戦後編で。こちらも授業形式で歴史の副読本を読んでいるような感じで大変興味深く
読みました。読みやすいけれど中味は結構濃いので600ページ超を読むのに時間がかかりました。
戦後のGHQの政策は国の政治や産業、社会構造だけでなく、
日本人の精神構造にまで深く影響を与えてきたのですね。
それが良かったのか悪かったかまではここで書くのは控えますが。
もう一冊のエッセイも読みやすいです。著者の深い教養を感じます。
面白かったので付箋を貼っておいたページがあります。お正月に夢にみると吉とされる
一富士、二鷹、三なすびの由来です。これは日本三大仇討からきている言葉なんだそうです。
富士の裾野の曾我兄弟、鷹の羽は江戸時代の赤穂藩浅野家の家紋、
なすびは・・・三重県伊賀上野に鍵屋の辻という仇討で有名なところがあるのですが
ここで荒木又右衛門というひとが執念の仇討を果たしているのですね。
それで有名になった、つまり「名をなす→茄子」ということなんだそう。
仇討は長い間、日本人の間では美徳と考えられてきましたが、現代の価値観からすると・・・
夢に出てきて本当におめでたいのかなあ・・とちょっと複雑な気持ちになってしまいました。

この方は手相占いで非常に有名な方なんだそうです。
なにげなく読んでみましたが、面白かったです。
物事の発想がとても前向きで明るい。
読んでいると自分の運も良くなるような気持ちになりました。
いつか手相を観てもらいたいな~ (;・∀・)
今月読んだ本はあと2冊。
おめでたい人、という表現は最近では皮肉っぽく聞こえますが
それを是としてくれる和田先生の本は元気が出ました。
書いてあることが結構自分に当てはまっていたので・・・(;´∀`) 笑

