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半藤一利さんの本、これで4冊目です。わかりやすい講義形式で書かれていて、
まるで社会科のベテラン教師の授業を聴いているかのような語り口で書かれています。
(実際に編集者の人たちの前で講義を行い、編集者の方々がまとめたらしいです。)
戦争までの経緯、その経過について実際の資料に基づき、とてもわかりやすく、
その原因がどこにあって、というふうに時系列的に説明されているので、
こういうのを中学校や高校時代に読んでいればもっと早い時期から
関心を持つことができたかもしれません。
中学生、高校生が読んでも十分に理解できる内容です。
遠く遡れば日露戦争で日本が勝利したことが
日本が愚かで杜撰な計画のもとで戦争に突き進んだ遠因になっていたわけですね。

「マスコミと一体化した国民的熱狂がどんなに恐ろしいものか」ということをたびたび語っておられます。
戦争は新聞を儲けさせる最大の武器、だからどんどん国民を煽って、軍の思惑通りに動きました。
今なら情報の媒体は新聞以外にたくさんありますが、情報の受け手はそれを額面通り受け取って
踊らされないようにするだけの冷静さと客観性が必要なんだと思います。

ただ・・・他の著作でも感じましたが著者は昭和天皇のことを擁護しすぎているように思えます。
なんかそこだけがどうしても不自然。この年代の方々にとって天皇という存在は、
それ以降の世代の人たちとは受け止め方が随分違うものだったのではとも思います。
それだからこそ書けないのかもしれないですが、本当に天皇に戦争の責任はなかったかというと、
いろいろ知れば知るほど、そこに疑問符がつきます。
サイパンが陥落した時点でもうやめておけばその後の沖縄や硫黄島の悲劇、東京大空襲、原爆投下なども回避できたのに・・・と。続きもあるので来月も継続して読むつもりです。

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子供の頃に馴染んだ話がいっぱい出てきます、「北風と太陽」、「すっぱい葡萄」、「蟻ときりぎりす」、肉付の骨をくわえた犬が水面に映った自分の姿をみて、相手の分も横取りしてやろうとワン!と吠えた話など、人間の貪欲さや怠惰を戒める内容で、動物や植物を擬人化して語っています。「狼少年」や「ウサギと亀」もイソップのお話のひとつだったんですね。あと「パンドラの箱」にそっくりな話もありました。

この本をいまさら読みなおしてみようと思ったきっかけは、ある本で、ギリシャの哲人ソクラテスが死刑を待つまでの間、監獄で手にしていたのが、この「イソップ寓話集」だったということを知ったためです。それでとても興味が湧きました。そしてイソップ童話のモトはそんな昔に遡るのかと意外だったこと。ヨーロッパ中世のグリム童話集とごちゃまぜにしていたところがあったので。他の物語を読んでいると登場人物にゼウスとかアフロディーテとかギリシャ神話の神様がいっぱい出てきてます。なるほど。(^-^;
日本でも江戸時代の初めに「伊曾保物語」として翻訳本が出ていたそうです。2000年以上の年月を経てもなお、世界中で、この物語が語り継がれ、読み継がれているのには、そこに人間や世の中の本質に迫るものが書かれているからこそではないかと思ったからです。

まず誰もが持つだろう感想のひとつは「人間の愚かさは2000年以上昔と全く何も変わってない」ということです。
人間というのは実に学ばない生き物なのですね。でも大人になって読み直してみると、本当に面白い。人間という生き物の本質がここに寓話化されて書かれているのですが、おそらく日常の人間関係の中で経験しているだろうことがたくさん書かれています。

今、昭和の戦争の本を読んでいるためか特に心に残ったのは、「戦争と傲慢」のお話です。
神々が結婚式を挙げ、「戦争」の神様ポレモスは一人しか残っていなかったヒュブリスという「傲慢」の女神と結婚しました。ポレモスはヒュブリスにべたぼれで。女神はあちこちで愛想を振りまくので、旦那さんは、彼女の行くところ、行くところ、後を追いかけるのです。つまり「傲慢」のあるところに必ず「戦争」がやってくるという、歴史の必然なのですね。(^-^;、
この他では「亭主と二人の愛人」という話、日本では落語のネタになっているそうです。面白いですよ、イソップ寓話。大人になった方にぜひ一読を、とお薦めしたいです。

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数年前に一冊目を読み、今回はその続刊を。心に残る文章にたくさん出会えた一冊でした。
生きていく過程で「成熟した大人」になるのはどういうことか、ということを考えさせられます。

いくつか引用してみると
*世の中の肌触りを覚えるには理不尽と出会うのがいい。ひとつひとつを乗り越えていけば笑い話になる。
*不幸の底にある者と幸福の絶頂にある者が隣り合わせて路上に立つことが日常起こる。だから大人はハシャグナというのだ。

著者は仙台在住。311の時もまた仙台の自宅におられたそうです。あの日のことを綴った最後の数ページは東日本大震災について綴られたどんな文章よりも迫ってくるものがありました。ご本人は家も身内も失っていないので「被災者ではない」と仰っていますが、未曾有の大震災を経験された本人による文章は一読の価値があるのではと思います。特に地震の日の夜の星の鮮やかさ、自然の異様な美しさを綴った数行・・・
*大いなる自然は人間を虫けらのように眺めていただけだった・
という短い一行が静止映像のように脳裏に浮かび、心に沁みこんできます。
自然は人間の英知が及ばないとてつもなく大きいものであり、美しく、数多くの恵みをもたらしてくれる反面、冷たく残酷な側面も持っていることも。

最近は素人でもどんどん本が出せる時代。本物の作家が書いた本物の文章にはやっぱり深みがあって
味わいがあります。大人の男性としての深みを感じます。そして著者の背後に透けてみえるのが
奥様(篠ひろ子さん)の器の大きさというか懐の深さというか。そんなことも感じた一冊でした。 (^-^;

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こちらも感想文を書きたかったのですが時間が足りないので省略します。
水野さんと榊原さんの共著。ちょっと金融関連の専門用語が最初の部分にいっぱい出てくるので、そこらへんは難しいですが、面白く読めました。読んで良かった。先進国においては成長戦略などもう意味がなくなったとするお二人の主張、これは私も以前から感じていました。先進国はもう成熟の時代、つまりゼロ成長の時代に入ってきているということ。今の先進国の現状は「停滞」ではなく「成熟」では、と。となるとアベノミクスの成長戦略って何だったのでしょうか。資本主義も便利さの追求も限界にまで来てしまった今の日本、違うフェーズに移行する時期に来ているのかもしれないですね。

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浅見さんの本は10年くらい前から、たまに読んでいます。
心が軽くなります。心の栄養剤みたいな感じ。(#^.^#)

今月は9冊読みました。最近は以前のように10冊行かないのは
多分、スマホをいじりすぎているからのような気がします(^-^;

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