
先月観た映画「雪の轍」の影響で、人間心理を深く掘り下げた小説を読みたくなり
久しぶりにドストエフスキーを。2冊併せて1000ページ以上、一日30ページ前後をノルマに
少しづつ読み進めました。「カラマーゾフの兄弟」と比べると比較的難易度は低いように感じましたが
あくまでも「比較的」であってじっくり考えながら、時には立ち止まって、戻って読み返し・・・
随分時間がかかってしまいました。
訳者のあとがきにも書いてありましたが、この小説は幾通りもの読み方ができる作品だと思いました。
第一はやはり一級の推理小説として。主人公ラスコリーコフが殺人を犯す時の心理描写、
その前後の状況描写、私自身がその場に居合わせて、主人公にオーバーラップしてしまったかのように
ものすごく迫るものがありました。ああ、犯罪をする時の精神状態はこんなになるのか、と。
もうひとつ印象に残ったのはこの小説に描かれる社会風俗像。
1860年代のペテルブルグの下町に住む人々の様子が非常にリアルに描かれています。
今の時代感覚からすると人間らしい暮らしとはとてもいえないような庶民というか下層の人々の暮らしの様子。
そして人間の心の微細な襞。
この作品が発表されたのはトルストイの「戦争と平和」と同じ時期だったそうです。
2つの作品はロシアとロシア人を全く違う角度から描写した作品ですが、訳者の説明によると
これらは1860年代の改革に浮かれ騒ぐ若い世代への警告という側面を持つものらしく。
ドストエフスキーの作品は「人間の本性を忘れた理性だけによる改革が人間を破滅させることを説いた」
ものだという。一度の通読ではまだまだ理解が浅い感じがしました。
黒澤明監督は生涯、これら作家の作品を何度も何度も読み返したと聞いたことがあります。
なかなか精神的なエネルギーのいる作業なのですが、私も今度いつになるかわからないものの
また読み返してみたいと思います。

今月は脳科学者の茂木先生の本を何冊か読んでみました。
非常に難しい分野の方でありながら、その著作はとてもわかりやすく、読みやすいものばかり。
追加で最近もまた何冊か買ってしまいました。(^-^;
ネット時代だからこそ、人はもっと本を読むべきと書いておられます。
映画、映像、音楽などがある中で、本が一番、「情報の濃縮度が高い」という。
食べたもので人間の身体ができているのと同じで、人間の知性は読んだ本が栄養になって
培われるものだということ、すぐには役立たない内容でもそれらは後々、「発酵して育ち」、
後々の人生の深みを増してくれるという指摘は茂木先生ならではみたいな感じでなるほど~と思いました。
たくさんの分野の本を同時並行でもいいから読むことが大切で
読むのが苦手なら1日10ページだけでも読む作業をすると良いそうです。
それで早速10月は「罪と罰」を毎日平均30ページづつ読んで、その合間に軽いエッセイを挟んだりして
読み進めるということを実践してみました。この作品だけをひたすら読むということをしていたら
きっと消耗してしまって最後まで行きつかなかったかも。(^-^;
読書をすることで見えてくるものが変わる、と書かれていますが、
それは私自身の実感としても「ある」と思います。
たくさんある読書法の本の中でもとりわけ読みやすくてお薦めの本でした。
今月はあとこんな本を読みました。
茂木先生の本は一日一冊ペースで読めるくらい読みやすいです(*^-^*)

堤さんの著作、すごくためになる一冊でした。
アメリカの医療事情は恵まれた人には素晴らしいものだけれど
格差社会の下のほうにいる人にとってはこんなに残酷なものかとただただ驚きました。
でも下手するとこれは20年後、30年後、
いやもっと早い段階での日本の将来の姿かもしれません。

昨日、五日市剛さんの講演会を聴きにいってきました。
今回もとてもいいお話をたくさん聞かせていただいたので
これについてはまた後ほど記事にしたいと思います。(*^-^*)


10月は11冊読みました。(*^-^*) 残業が多くて日々へとへとになっている割には
まあまあ読めているほうかなと思いますが・・・現状ではこれが限界かな。
