
著者は内閣総理大臣夫人。家庭内野党と称して原発輸出にも反対し、
安倍首相にもいろいろ意見をされたりするそうです。
山口県でお米を育てたり、東京で居酒屋を経営されたりもされているとか。
少しでも国民の考えに近づこうという姿勢の表れかと思うのですが
この方には歴代の首相夫人とは違うものを感じていました。
この本は各界のスペシャリスト14名との対談を一冊にまとめたもの。
寝ころびながら読める内容でしたが、大変面白かったです。
様々な価値観をもつ人々との語らいを読むだけでも学ぶことは多いと感じます。
まえがきで「お互いに目を逸らし、耳をふさぎ、心を閉ざすのでは何も生み出しません。
きちんと向き合って、意見をぶつけあうことで、新たな価値観を生み出すと思います。
そしてその新たな価値観を受け入れることによって、必ず人間としての厚み、
魅力になっていき、笑顔を生み出すと思うのです」と仰っています。
読みながら著者は人から話を引き出すのがとても上手な方だと感じました。
またご自身でも「聞き役に徹するだけでなく、自分の意見を言うときは
はっきりと主張します」と書いておられますが、対談の中でも
本当にばしっと言うべきことは言うというスタンスで、それも爽快です。
対談に登場する方々は各分野で突出した方々。
「どういう時に幸せを感じますか」という質問に対する皆さんの答えは
ごく平凡なありきたりなことばかりです。
でもそういう「普通のありふれた幸せ」に気づけることが
なかなかできなかったりする。素晴らしいことだと思います。
安倍昭恵さんのお人柄もよく伝わる一冊。
一般の人との距離感がとても近いところにも魅力を感じました。
これを読んで彼女のファンになってしまいました。(^-^;

著者は元外務省主任分析官でインテリジェンスの第一人者。
知人からこの方の著作がとても面白いと勧められて読んでみました。
以前、別の著作を本屋さんで立ち読みしたことがあったのですが
ちょっと難しくて敬遠していました。
ベストセラー本ならきっと読みやすいだろうとまずこの2冊から。
この2冊はとても読みやすかったです。
この方、強面だし、「ムネオ事件」に関わっていた人だし、
あまり良い印象はなかったのですが、表面的な勝手な思い込みだけで
人間や物事を判断してはいけないことを今回も実感しました。反省。(-_-;)
「人に強くなる・・」のほうはどちらかというと若い人に向けて書かれた
アドバイスのような内容。でも若くない人にもとてもためになる内容です。
代理体験(疑似体験という意味なのでしょうか)の大切さもなるほどと思えます。
「ズルさのすすめ」は狡猾にとか悪賢く、という意味ではなくて、
賢く、すばしこく、創意工夫に富んだ生き方をという肯定的な意味で。
複雑な世の中を行きていくにはそういうことも必要だと。
でも自分が本当に大切にする家族、友達、恋人とはズルさや駆け引きを
抜きにした誠実な関係で・・と。
今月はこの方の著作を4冊読みましたが、著者については
本当はとても誠実で優しい方なのではと感じました。
印象に残ったのは「賢者の時間を大切にする」という下り。
孤独は人を賢者にする。大事なことは自分の内側をみつめる時間から得られるもので、
孤独な思索や時間こそ大事にすべきというところ。雑多な情報に追われるうちに
自己を失い、自分の頭で考え判断する時間を失ってしまう。忙しい現代は
そういう弊害に陥りがちだと思うので、心に留めておきたいと思いました。
それから「受けた恩は忘れがち」というところ。人間の認識は非対称になっているらしく、
自分が与えた情けは大きく、受けた恩は小さく感じてしまうらしいです。
自分がしてもらったことは相手が思っているほどは恩に感じていないもの。
なるほどそういうことはあるかもしれません。
だから自分では少し過剰だと思うお返しをするくらいでようやく両者の意識が
釣り合うようです。
「受けた恩は石に刻み、かけた情けは水に流せ」。
ひとつ学びました。(#^^#)

学生時代に4年間を過ごした地でもあり、
大人になった現在でも時折訪れる京都ですが
まだまだ全然知らない京都の奥深さを感じる一冊でした。
旅の本を読んでいると非日常を感じ、
また心に潤いが生まれるような気がします。
ゆっくり一人で京都のお寺を歩いてみるのも良いなと感じました。
印象に残ったのは
「ほんとうに美しい仏さまは、ただ美しいというだけで
自然に拝みたくなりました」という箇所。
最近、こんな感覚や時間を過ごしてないような気がしたからです。
あと巡礼について。巡礼は信仰心がなくてもただ歩けばいいということ。
実際に歩いてみると信仰というものは後からついてくる。
先にあるものじゃないということ。もし先にあったらそれは観念だということ。
それから著者は、「小さい頃はお寺巡りよりも
海や山で遊び呆けた経験がずっと身についてためになった」と書いています。
大人になって竜安寺の石庭に感動したのも、子供の頃に聞いた潮騒の響き、
潮の香が匂ってきたから、と。とても大切なことだと思います。
今月はあとこんな本を読みました。

佐藤優さんの上記2冊が面白かったので引き続きこの2冊を。
「インテリジェンス・・」、後半は神学のこととか出てきて難しいけど
面白かったです。たくさんの人物が出てきますが
太平洋戦争時の情報将校、有末精三についてのくだり・・。
日本は情報戦に敗北したと言われていましたが、
実はこんなすごい情報将校がいたのかと。
私は交渉事が苦手なのでいろいろと勉強になりました。(^-^;

「原発ホワイトアウト」、すごく面白かったです。内容的にはシリアスすぎて
「面白い」という形容は適切ではないような気もするのですが
夜更かしして読んでしまいました。
東大法学部卒の現役官僚による小説という体裁での告発本で、
2013年の発刊当初、省庁では犯人捜しが行われていたそうです。
電力会社と政治家、官僚との癒着の話、えぐすぎ。(一一")
日本の政治から国民の存在が完全に忘れられているみたいで。
引用されたマルクスの言葉
「歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」。
ずしんときます。
ピケティ特集の雑誌もいれると今月は11冊。


