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久しぶりに山崎豊子さん。沖縄返還協定に絡む西山事件をモデルにした小説です。
1-3巻は日米間の「密約」に関する外務省機密漏洩事件が後の裁判で
男女のスキャンダルに巧妙にすり替えられ、更にマスコミが国民の劣情を煽るような記事を
書きたて、いつの間にやら本来の問題から焦点がずれていく(いや、ずらされていく?)
様子が描かれています。国民を愚弄した「密約事件」の詳細がよくわかる内容でした。
 
印象に残ったのは4巻目。この事件で人生が狂ってしまった元新聞記者の主人公が
放浪の果てに辿り着いた沖縄で出逢う人々との交流の中で再生の道を歩み始める
下りが書かれています。
正義とは何かという問いや権力の怖さといったことが描かれていた3巻目までと異なり、
4巻目で描写される沖縄問題の現実こそ、
著者が本土の人間に一番伝えたかったことではないかと思いました。
 
沖縄の住民の口から戦時中の話、戦後の沖縄問題が語られます。
沖縄は太平洋戦争の時、日本の中で唯一地上戦が行われた地であり、
本土を守る盾にされ、この時に沖縄本島では3人に1人、
離島を含む沖縄全県では4人に1人が亡くなりました。
 
方言が通じずに敵国のスパイと間違えられ、
日本兵から拷問を受けたり、射殺されてしまった人の話、
泣き声が漏れるという理由で絞殺される幼児たち、
食糧を奪われ餓死する人々。洞窟内での集団自決。
戦時中には多くの犠牲を強いられ、そして本土に返還された現在でも
今度は基地問題でなお終わらない住民の苦しみ。
読んでいて息苦しくなるほどです。
 
暫く前に沖縄の基地問題についての講演会を聴きに行く機会がありました。
95年に米兵による少女レイプ事件があり全国的に報道されましたが、
沖縄では現在でも米兵による日本人女性へのレイプ事件が後を絶たないそうです。
日米地位協定という非常に歪んだ取り決めがあることで
住民は常に危険に晒された生活を送らねばならない現実があるのです。
 
沖縄は古くは琉球王国の頃から地政学的にどうしようもなく不幸な位置にありましたが、
日米地位協定についての見直しは今後もっと真剣に議論される必要があるのでは、と
思いました。実際のところ、民間企業同士で契約を交わす場合でも、
一旦、こちら側に不利な条件で締結してしまうと、
その後、条件を変える交渉は非常に困難です。
特に相手が米国企業とかのような場合、本当に難しい。
国同士の条約、協定となると、その困難の度合いは十分に想像がつくのですが、
それでも前回の講演会で聴いた話や小説に描かれた
沖縄の現実を知ってしまうと、自分たちの生活には関係がないからと
無関心で居続けることはできない気がしました。
そういう意味でも読んで良かったと思います。
 
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小学生の時以来、超久しぶりに宮沢賢治の童話集を読みました。
山へ猟に行った帰りの二人の紳士が、ふと見つけて入った料理店で、
店側からいろいろな注文を受けたあげく、料理人に食べられそうになり、
大慌てで逃げ出すという話です。ちょっと皮肉な話ですね。
小さい頃はこの物語をとても怖い話と感じていました。
 
この他にもたくさんの短編童話がまとめられています。
「狼森、笊森、盗森」、「水仙月の四日」、「月夜のでんしんばしら」など、
今、読み返してみても優しい気持ちが湧き上がってきます。
今の年齢になっても童話を読んで素直に感動できる自分のことが
嬉しいと思ってしまった一冊でした。(^^;
そうそう・・・二人が食べられそうになった料理店の名は「山猫軒」。
検索してみたところ、この名を付けたカフェやレストランが
全国にいっぱいあることがわかりました。
お店のオーナーさんは宮沢賢治のファンなのでしょうね。(#^.^#)
 
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感情と臓器はつながっているそうです。
~以下引用~
中国の「陰陽五行」では「臓器に気が宿ってエネルギーが
バランスよく働いている時、身体は健康状態を保っている。
しかし感情の消化がスムーズに行われない場合、その感情が宿る
「臓器」に不調が起こるとされます。~引用ここまで~
 
様々な感情に関連する臓器があり、
怒りや「イライラ」などのストレスは肝臓にたまり、
「せかせか」は心臓にたまるそうです。
脾臓・・膵臓、そして胃は不安、心配などの感情を司り、
肺は悲しみを支配する臓器。「クヨクヨ」は肺にたまる。
恐怖、「びくびく」とした気持ちは腎臓にたまるのだそうです。
 
爆発されずにためられた怒りは今度は自分を攻撃するようになり、
それが肝臓を傷める一番の原因になります。
各臓器に宿ったマイナス感情をマッサージで解放してあげることが
体内の気の流れを良くし、体調を改善させ、身体と心の詰まりをとることで
運気を呼びこむという考え方があるのだそうです。
 
身体の中にたまっている毒素、老廃物を排出しやすい食材についても
書かれています。(マクロビオティック)
古代から日本人が食べてきたものを、なるべく電化製品の力を借りずに
自然の力、火と水だけで調理すると食べ物により強力なパワーが生まれるそうです。
 
かつての日本人は非常に粗食であったのに、
体力があったという記録が残っているそうですが
日本の伝統食は自然の力をうまく取り入れたものだったのですね。
こうした「食」こそが体力を養い、身体の免疫を上げる役割を果たすものなのかもと思いました。
 
あと面白かったのはおへそのごまは溜めずに掃除したほうが良いのだそうです。
おへそのごまをためると幸運が遠のくとか(^^;
なかなか興味深い一冊でした。
 
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「単なる娯楽のための読書ではなく」、「多少とも精神の緊張を伴う読書」が
この本のテーマであると斎藤先生は述べておられます。
日本の教育の高さが経済を下支えしてきた要因のひとつでした。
その現れのひとつが読書力だといいます。
読書の意義をいろんな方向からわかりやすく説明されています。
確かに娯楽のために読んだ本よりも、緊張して読んだ本のほうが
後になってみると、自身の精神の骨肉になっている感じがします。
あまり読まないですけど・・・(汗)
巻末に斎藤先生による文庫百選がありますが、まだまだ読んだことの
ない本もたくさん~。少女老い易く学成り難し。死ぬまでに一冊でも
多くの価値ある本を読んでおきたいと思った「元」少女でした。(#^.^#)
 
11月はスピリチュアル系の本を何冊か読んでみました。
結構好きなのです。(#^.^#) 11月の読書は12冊でした。
 
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