
「森のイスキア」を主催する著者のことを初めて知ったのは
「地球交響曲」という映画ででした。
あの映画を観たとき、なんだか乾いた心が
すーっと潤いで満たされていくような
感覚を覚えました。
この本には「食」を通して、
今のような殺伐とした時代にとても大切なことが
書かれているように感じました。
ほうれん草をゆでる話に印象的だった箇所がありました。
ほうれん草をゆがいていると、ほうれん草がお湯の中で
一瞬、輝くときがあるのだそうです。
それが「いのちのうつしかえ」の合図。
食材の一番の食べ頃を、食材自らが知らせてくれるのです。
この瞬間を見逃すと、ほうれん草は柔らかくなりすぎて
べちゃっとしてしまい、せっかくの「いのち」が失われてしまう。
だから、料理をしているときはよそ見はしてはいけないと。
「いのちのうつしかえ」という言葉は随所に出てきます。
食材は私たちの体に入って共に生きていくのです。
私たちは他からいただいた命によって生かされていること、
そして食材との対話、その大切さを改めて想いました。
そして、インスタント食品、サプリメント、冷凍食品・・
これはだめですね(涙)なるべく減らさないと・・!
大切に手元に置いておきたい一冊でした。
そして、家族のために料理を作る人には
ぜひ読んでもらいたいなと思いました。(*^-^*)

今年は夏目漱石の「こころ」が朝日新聞に初めて連載されて
100年目の年にあたるそうです。
それでなのか、書店に入ってすぐのところに
この文庫本が平積みになっていました。
シンプルな装丁に惹かれて、
久しぶりに再読してみようと購入しました。
あらすじはこちら。
心に残った個所がいくつか。下記、引用です。
「然し悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。
そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にある筈がありませんよ。
平生はみんな善人なんです、少なくともみんな普通の人間なんです。
それが、いざという間際に急に悪人に変わるんだから恐ろしいのです。」
叔父に裏切られて財産を奪われた先生が、自分は清く生きようと
思っていたにも係らず、親友Kと同じ女性に片思いしていると
知るやいなや、相手を出し抜いてその女性と結婚してしまう。
そしてKは自殺してしまう。自殺したKを発見した時、先生は
遺書の中に自分が死に関わっているようなことが書かれていないか
まず、それを調べたりしてしまう。周りがいろんな推測をする中で、
世間は自分に非があるとは思っていないことを
確信したとき、先生は初めて友の死に涙を流す・・・。
人間は究極のギリギリに追い詰められたとき、どんな行動に出るか。
生きるために他者を傷つけてしまうのが人間なのか、と
己のエゴについての問を正面から突き付けられたように感じ、
いろいろと考えさせられました。
人間の心の奥を深く深く掘り下げた一冊。
昔読んだときよりもずっと感慨深く読みました。

ブックオフでたまたま見つけました。
1970年代、1980年代のインタビューや、
その時期に本人や関係者が書いたものをまとめた一冊。
まず驚いたのは、オノ・ヨーコさんの身長が
150センチ足らずだということ。
圧倒的な存在感から、もっと背丈のある女性を
勝手に想像していました。
彼女ほど激しい人生のアップダウンを生きてきた人はそういないと思います。
人生の中で何度も周囲から心ない中傷を受け
バッシングされてきたそうです。
それでも自分の心に正直に生きることをやめない勇気。
彼女は他の本でご自身のことを「とても弱い人間」と仰っていましたが、
なかなか普通の人間にはそんなことできません。
また女性が強くなった昨今といわれながらも
「日本男性沈没」の章を読んでいると、
私たちはまだまだ非常に男尊女卑な社会に暮らしており、
女性である我々もそれを認識することさえしてないのではと、
思ってしまいました。(;'∀')
ヨーコさんは前衛的な芸術家である一方、
周囲の人への配慮を忘れないとても優しい方だとも思いました。
ヨーロッパで行われた何かのロケの折、日本食がなかなか入らない土地で
日本人スタッフのために豚汁パーティーを開いてくれたり、
また「身体にいいから」と自ら包丁で野菜をとんとんと刻んで
手早く、わかめサラダを作られていたそうです。
常に他者を思い遣る優しさがある上に
強い信念があって・・・、本当にすごいです。
こんな生き方を人生の目標にしたいと思いました。(*^-^*)

先月、今月と石破さんが書かれた本を何冊か読みました。
どの本もとてもわかりやすい口調で、国際情勢のことや
政治のことを説明してくれています。
本を読んだ印象ではご本人はとても勉強家であり、
そして日本が世界で置かれている情勢を
大変冷静に観ておられるということでした。
書いてあることについては理屈では非常に納得してしまうのに、
感情的な部分(心の部分?)で
その通りと思えないのはなぜなのか。
石破さんは日本を戦争させないためにも、
集団的自衛権の容認は必要、と訴えてみえます。
それが世界の常識であることもわかりました。
そして憲法の解釈変更は過去にも行われてきたことも知りました。
また戦後まもなくは自民党よりも共産党のほうが
もっと過激なことを言っていた時期があり、
その頃、自民党は共産党を逆に宥めようとしていたそうです。
今と立場が真逆だったのですね。(^^;)
北朝鮮やイスラム国などのように無謀な国と
冷静に話し合いだけで紛争を解決するのは無理というのは
わかるものの、欧米諸国が現在イスラム国に対して行っているような
ことをするのが正しいことなのか。これが私の疑問。
力を力で抑えることが果たして正義で、効果的な手段で
本当に世界の平和に資することなのか。
イラク戦争以来、そうした姿勢を取り続けてきたことが
現在のより悪化した世界情勢を招いてしまったのではないのかとか。
自衛権の話は別として、「政治力」の本の中で書かれていた
「なぜベンツの工場が日本にないのか」という下りが興味深かったです。
人件費だけが問題でないのは、アメリカに日本の大手自動車メーカーの
工場があることでわかります。
ネックは法人税の高さなのだそうです。
この際、東北地方に限って、
法人税をゼロにしてみてはという提案をされてます。
それがきっかけとなって海外企業からの投資につながれば
新しい見通しが開けてくるのでは、と。
それから文芸春秋のほうの一冊は
識者らによる戦争に関する記事40本。
「アングロサクソンはなぜ最強なのか」という記事が面白かったです。
かくあるべし、という理念よりも、「ものの役に立てば良い」という
徹頭徹尾、現実重視の姿勢であることが
アングロサクソン文明の最大の強みだと。
なので彼らは人間をあまり高尚なものと見ていない。
そしてお金のように卑俗にみえる欲望を軽視しない。
こうした現実路線が国際社会で突出した力となっているのですね。
また「自由と開放」という皆の利益を尊重しているようにみせて
実は自分たちの利益の最大化を狙っているという。
彼らの秘中の秘というべき特徴は「偽善」であり、
最も適切なタイミングで嘘をつき、その効果を最大にするために
普段は嘘をつかず信用と高めておくと・・・。(;・∀・)
日本はこうした海千山千な国と
同盟を結んでいることをしっかり肝に銘じる必要があると思いました。

今月は全部で10冊読みました。
名作「ファウスト」は漫画で・・・(*^-^*)
わかりやすかったです。