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数年前に映画化され、それを観ていましたが
やはり小説で読むと内容の深さや人物の心理など
数時間の映像では描ききれてなかった細部まで描写されており
非常に凄みを感じる内容でした。いつも寝る前に本を読むので
この小説を読んでいる間はやっぱり毎晩、悪夢を見ました。(>_<)
アフリカ篇、御巣鷹山篇、会長室篇の3部に分かれていますが
中でも一番印象的だったのが「御巣鷹山篇」です。
読み進めるのが息苦しくなるほどの描写が続き、
事故の悲惨さと遺族の方々のその後が克明に描かれています。
人物も実名で登場しています。
あの事故でどれだけ多くの人々の人生が狂わされたのかを
思うと本当に胸が痛みます。
会社内部の腐敗についても小説であるから全てが真実とは言えないにしても
このモデルとなった会社が民営化後にたどった道のりを考えると
かなり真実を突いたものだったのでしょうか。
著者の綿密な取材には今回も驚くと同時に、
企業の不条理、大企業の弱者への無残な仕打ちといったものへの
著者の怒りを行間から感じました。
 
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(記事が長くなりすぎたのでこの本の感想は省略しました。(>_<))
 
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「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」
 
有名な悪人正機説の一文ですが、
私はこの意味がわかったようで、ずっとわかっていませんでした。
この本に出てくる篠田さんという僧侶の説明でようやく腑に落ちた感じがしました。
 
以下、引用します。
~ 
「人間とは愚かなもので善人と悪人を区別するとき、多くの人は「善人」である
自分からみて他人を「悪人」とする傾向があります。つまり「悪」は常に他人事なのです。
確かに人のものを盗んだり、殺人を犯したりするものは紛れもなく悪人でしょう。
自分はそんなことをしないので善人と思うのは当然かもしれない。しかし多くの人は
実は自分も真理に背くような罪を犯しているのにそれを反省するだけの教養に
欠けているのではないでしょうか。
例えば善人にならねばと念じながら、心の中には次から次へ悪巧みの妄想が
浮かんできませんか。他人の成功を称えながらもドロドロとした妬みが渦巻いては
いませんか。軽い気持ちで吐いた言葉が相手に苦しみを与えてないと言い切れますか。
みなさん、外見は決して罪など犯すことのない「善人」ですが自分のことを善人と
思っているような人は「悪人の善人」、ちょっと言葉は悪いですが、偽善者のようなものです。
善人面していても心の中まで完全な善人などいるはずもないでしょう。」
つまり自分は善人だと思いあがっているような偽善者が救われるというのならば
自分の内なる悪を自覚して苦しんでいる人間はなおのこと救われるのだという。~
 
戦後、半世紀にもわたり、死刑囚と向き合い悟りを説いてきた
ある僧侶の告白が書かれています。
死刑制度は必要であると思う反面、こういう本を読むと
本当に一番悪い人間が死刑になるのか??と疑問が湧き上がってきます。
 
 
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日本の迎賓館として誕生し、100年を超える歴史をもつ帝国ホテル。
変わらず今も一流と評価されるサービスの概念について書かれた一冊。
印象に残ったのはレストランでは従業員はホテルの先輩から
「カップと口の角度で、残量はわかる。残り少なくなればカップの角度が垂直に近くなる」と
教えられるそうです。これなら離れた場所にいても
お代わりのタイミングに狂いが生じないから、だそうです。
 
また客室のごみをもう一泊させるという配慮。
不要だと思って捨てたものでも飛行機に乗ってから大切なメモであったことに
気付くことがあるからだそうです。
 
そして車種とナンバーだけ見たらお客さんの名前がわかるという
ドアマンのプロフェッショナリズム。
 
控えめで質の高いサービス、見えないところへの配慮、
サービスの神髄ってこんなところにあるのかと感銘を受けた一冊でした。
相手への心を込めた気遣いとか、自分の生活にも応用していきたいです。(#^^#)
 
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数々の事故、事件、災害を取材し、分析してきたノンフィクション作家が
次男の自死に自らの在り方を問い直した一冊。
一時間くらいで読める内容だったのですが、心に残る記述が多くありました。
 
人の話を聞いたり、手記や追悼記を読んだりして心が動かされるのと
自分が体験することは100倍も1000倍も違う。
全身が何かに丸ごと飲み込まれていくような、
本当の悲しみは体験した人でないとわからない。
ある人が涙ながらに語っていることと同じ悲しみのレベルにまでは
自分は降りていけない、それをわれわれはもっと謙虚に自覚せねばならない・・。
 
また今の時代、「癒し」という言葉がよく使われていますが、
柳田氏はこの言葉の本当の意味は決して心地よいものではないと言っています。
「癒やし」の本質を突いた言葉として、
幼い子を亡くした母親の言葉が引用されています。それは
 
「癒やしとは胸をかきむしらんばかりの苦しみ、悲しみを抱え、そこから逃げずに
必死で生きようとするその人生そのもののこと。それが癒しの本質です。」
 
わずか数行でしたが、ここで思考が止まって、何度も反芻し
この言葉の意味について考えてしまいました。
その本質とは自分の言葉で置き換えてみると
「苦しみを乗り越え、自分の中の本来の強さを取り戻すこと」であろうかと。
 
今月はあとこんな本を読みました。↓合計で14冊です。(#^^#)
万能細胞の話も面白かったです。
 
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