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先月、志摩観光ホテルのメインダイニングに食事に行ったのをきっかけに
高橋シェフが書かれた本を何冊か読んでみました。
メインダイニング、「ラメール・クラシック」の料理長であっただけでなく
最後のほうはホテルの総支配人をされていたということを
いまさらながら知りました。
 
フランス料理だけでなく、それらを育み発展させてきた
歴史、文化、芸術、環境、技術などあらゆる事柄について造詣が深く、
また日本を始めとする東洋について非常に詳しいことに驚きました。
現役時代でも月に100冊、本を読まれ、休みの日は奈良や京都を
訪れて日本の歴史を観て歩いたそうです。
 
印象的だったのは帝国ホテル料理長の村上信夫氏との対談集です。
一流を究めた人の凄みを感じる内容でしたが
濃い内容だったので、全部消化しきれない感じです。
後日、読み直したいと思っています。
(表紙に写っているのは村上料理長。高橋料理長は反対側です (~_~;))
 
「プロサラリーマン」という本はどちらかというと料理よりも
タイトルの通り、ビジネス書的な内容。
会社というレバレッジを利用して、いかに大きい仕事ができるか、
自分を成長させることができるかということが書かれています。
 
料理人であっても「かまどの詩人」になってはいけない、という言葉が
他の著作でも何度も出てきました。
料理のことだけを考えているようではダメ。
もっと経営全般のことをも考えなければいけないと。
著者ご自身、厨房にいた若い頃から、計数管理や経営のことなども
独学されていたようです。
自分の専門領域を持ち、かつ組織全体のことを考える
視野と能力が必要だということ。
会社員としては大切なことですね。
 
4冊の本から得た印象として、多分、この方はご自身にも
他者にも結構手厳しい方なのでは?と想像しています。
 
あとの2冊は美しい芸術的なお料理の写真と共に、
高橋シェフのエッセイが掲載されています。
ちょっとだけフランス料理のカタカナに詳しくなれたかも。(#^^#)
 
都会から遥か離れた志摩半島にあって、
世界中の超有名な料理人、文化人が数多く訪れ、
著者の料理を絶賛したといいます。
「華麗なる一族」の著者、山崎豊子さんもホテルの常連さんだったそうです。
 
このホテルの周囲って現在も殆ど何もないのです。
墨を流したような真っ暗な夜、志摩半島の一角で
シャンデリアの優雅な煌めきに包まれたメインダイニングでの
華やかな当時の光景を想像してしまいました。
 
 
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他に読みたい本がたくさんあるので毎月一冊づつのペースで
読んでいます。ようやく後半に入りました。
この巻には「若菜」上、下が収められています。
寂聴さんの解説によると、この帖は多くの学者、研究家、作家たちから
54帖の中で最も面白いと絶賛されてきた帖だそうです。
 
これまで、源氏の君は「!」と思った女性は殆どものにしてきましたし、
お金はあるし、社会的ステイタスは申し分ないし、
六条の院にハーレムまで築いてそれぞれに
お気に入りの女性たちを住まわせていました。
 
しかし彼も40歳前後と中年にさしかかり、
人生にちょっと翳りの兆しが見えてくるんですね。
愛妻、紫の上の心が離れていき、
若い妻の女三宮が他の若い男に寝取られてしまうという。
 
多くの女性読者がこの小説で登場する姫君の中で誰が一番良いかと
聞かれると「紫の上」と答えるそうです。
小さい頃から源氏の寵愛を一番深く受け、大切に大切にされてきた女性です。
でも寂聴さんの解釈では紫の上ほど不幸な女性はいないと。
一夫多妻が当然だった当時、いくら彼女が一番とはいえ、
源氏は他の多くの女性のもとへ通っています。
例え戻ってくるのが自分のところであっても。
これって女性の場合、とても辛いことだと思うのです。
 
そして年月を重ね、老いてきた頃、ようやくこれからは
二人だけで穏やかな晩年を・・と思っていたところへ
女三宮が降嫁してきます。
40歳の源氏に13,4のお嫁さんです。
これには紫の上もうちのめされ、もうこんな悩みばかりの日々はたくさん、
出家して穏やかに生きたいと申し出るのですがやっぱり源氏は許さないのですね。
 
これまで浮気な源氏にやきもきしてきた紫の上も
とうとう彼への信頼を失なってしまいます。
そして、次は柏木が源氏のいぬ間に、その若い女三宮と通じてしまうという。
若い頃、自分がやったこと(父親の側室、源氏にとっては義理の母と通じた)が
巡り巡って、今度は自分の身に降りかかってしまったのです。
それを知った源氏は、意外なくらい、ねちっこく柏木をいじめます。
自分になくて柏木にあるもの、「若さ」への妬みなのですね。
 
紫の上は病に伏せってしまいます。
この時、(えっ、また?)と驚いたのですが紫の上を苦しめていたのは
もう10年以上、もしかしたら20年くらい前にこの世を去っている
六条の御息所の怨霊でした。
紫の上との寝物語の中で、源氏が自分のことを
悪く言ったのが気に入らなくて出てきたのです。
女性の恨みは恐ろしいです。
そういえば江戸時代に描かれた幽霊の絵だって
殆ど女性ですし、お能の般若のお面は女性です。
男性の皆さんはこんな事態を招かぬよう気をつけてくださいね。
 
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随分前ですがテレビ番組で安藤さんのインタビューを見て、
この方の考え方、生き方にとても惹かれ、その後、暫くの期間、
安藤さんが設計された建物を熱心に訪れたりしていました。
 
建物はコンクリート打ちっぱなしとガラスいう無機質な材料でできているのに
なぜか温かみを感じるのです。太陽光をたくさん採り入れたり、
周囲の自然に溶け込んだ設計もとても魅力的です。
安藤さんは日本人の繊細な感性を育んできた
日本の自然を再生させる活動にも取り組んでおられます。
 
日本を代表する建築家にして、とても異色な経歴をお持ちの方です。
工業高校を卒業後、プロボクサーとして稼いだファイトマネーで
世界を旅し、各国の建築を見て周り、20代で大阪に建築事務所を開業。
 
既に70代になられたと思うのですが、非常にエネルギッシュで
常に新しいことへ挑戦することをやめない、とても魅力的な生き方をされています。
個人的に大好きな方でそれで、久しぶりに本を買ってしまいました。
ご本人へのインタビューをもとにした一冊で、内容的には1時間くらいで読めます。
久しぶりに心に刺激を与えてもらえました。(#^^#)
 
 
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サブプライムローンの問題をきっかけにしたリーマンショックが起こるまでの米国や世界の金融の流れ、その後について大変わかりやすく解説されていました。
グローバル化がもはや当たり前になった現在、ある事象のきっかけは決してひとつだけではなく、また地球の反対側で起こったことが、瞬時にこちら側の市場に影響するということも
普通に起こっています。昔は効果があった当局による介入も、公定歩合の上げ下げも振り切ってしまうくらい、マネーの流れは強く、人間の手におえないモンスターと化してしまいました。これを生み出した原因はアメリカ国内のみに存在するのではなく、世界中の様々な要因と「人間の欲」にあることを感じました。私は90年代の初め、大学を卒業して最初に投資銀行に就職しました。ここに描かれている投資銀行内部にある利己的ともいうべき空気感は皮膚感覚として覚えているのでなんとなく当時のリアリティが蘇ってくるような気がしました。
 
印象的であったのは最後のほうに書いてあった、
市場を動かすものは「強欲」と「恐怖感」という2つの感情、という言葉。
それから「人間の歴史は学ばれることのない教訓や忘れ去られた教訓で溢れ、
人間は何度でも同じことを繰り返しているように見える。」というくだりでした。
今後、私たちは生きているうちに、
いや、またそのうちに違う危機に直面することになるのかも。
 
先月はこんな本も読みました。
フルタイムで働いて、家事をして、ブログをして、週末は遊んで・・となると
このくらいがせいぜいです。
高橋さんの月100冊って凄いわ。(>_<)
 
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