
久しぶりに映画のレビューです。
映画も観に行ってますが、最近はあまりブログに書いてませんでした。
ゼロ戦パイロットとして死んでいった祖父について、
現代に生きる姉弟が調べていく過程の物語です。
小説を先に読んでしまっていたので
映像をみてがっかりというパターンにならないかと思っていましたが
これはとても良い作品に仕上がっていました。
登場人物の細やかな心理描写、戦況の移り変わりの様子などは
原作に及ばなかったかもしれませんが、
ぐっと胸に迫るような映像ならではの良さがありました。
現代の場面、過去の場面が交互に映し出され、
あの時代を生きた人たちのまっすぐさが心に響きました。
主人公の宮部さんを演じた岡田准一さん、とても良かったです。
彼の表情、とくに彼の眼差しが全てを語っている感じで。
現代の場面ではとりわけ景浦さんの迫力ある姿が小説以上でした。
物語が進むにつれて館内のあちこちからすすり泣きの声が聞こえてきて
私も思わず泣いてしまった場面がいくつかありました。
ここに描かれているような多くの人々の犠牲の上に今の平和が
築かれていることも忘れてはならないと思わずにはいられませんでした。
また当時、世界で最強の能力を持つと言われたゼロ戦の飛翔力が
非常に凄みをもって描かれていたこと、これも私の貧しい想像力を
遥かに上回るものでした。真珠湾攻撃についての映像なども
CGが大変効果的に使われていました。
若い人たちが文字通り命懸けで戦場にある姿をスクリーンの上で追いつつ、
同じ時に上層部の人たちは権力闘争に明け暮れていたんだなと
ぼんやりと考えてしまいました。なんともやりきれない想いが重なりました。
「あと10年経ったら戦争を知る世代がいなくなる」と
元予備士官だった人が語っていました。
今を生きる私たちへの大切なメッセージがたくさん詰まった
作品だと思います。