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伊勢の進富座さんで上映されている「約束」を観てきました。
三重県名張市で1961年に起こった名張毒ぶどう酒殺人事件について
何十年にもわたって取材を続けてきた東海テレビ制作の作品です。
 
当時の物的証拠が弁護団によって次々と覆されており、
今の時代に起こった事件なら、
全く違う判決結果になっていた事件ではないかと思うものでした。
 
観終わった時に感じたのは、この事件が冤罪か否かということ以前に
国家権力の怖さでした。
 
一方的な視点から作られている感は否めないものの、
裁判官の世界もまた大学病院と同じく白い巨塔なんだなと感じました。
トイレに行くのもエレベータに乗るのも先輩後輩の序列が決まっている世界。
 
先輩裁判官の判決を後輩裁判官が覆して再審決定することは許されず
ましてや最高裁の判決決定を覆すなんてありえない。
もしやってしまったらそれはエリートコースからの逸脱を意味し、
待遇も悪くなり、地方裁判所を転々とする異動することになってしまうという。
 
実際に一度再審決定をした裁判官は翌年退官しており、
再審棄却した裁判官は東京高裁に栄転しているそうです。
 
奥西死刑囚役を仲代達矢さん、母親役を樹木希林さんが演じてました。
仲代達矢さんも最初はこのオファーを断ったけれども
いろいろな資料を読み込んでいくうちにこれは冤罪だと確信し、
引き受けたということでしたが、二人とももうこれで仕事がなくなるかも、と
思ったそうです。
 
映画の中である登場人物がボソっ・・といった一言に
「・・・あっ!!!」と思いました。
そのセリフを言わせた制作側の意図。
これが一番印象に残りました。
 
公式サイト
 
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