
でも実際に世の中には雲泥の差がある。
なぜか。その違いは学ぶか学ばないかによってできるのである。
しかし、学問は本を読んで知識をためこむことではない。
読書は学問の技術であって学問は物事をなすための技術に過ぎない。
我々は学問を得て、世のため人のために貢献し、
また過去から受け継いできた文明の遺産を
長く後世に伝える必要がある。
短くまとめるとこんな感じです。(*^_^*)
明治時代に70万部、最終的には300万部も売れたそうです。
当時の人口は3000万。現在のような流通網や広告もなかった時代に
10人に1人が読んでいたというのはすごいベストセラーだったのだと思います。
今回、斎藤孝先生の現代語訳が出ていたので買ってみました。
明治時代の人たちが読んだ気分で読めたような気がしますが
福沢先生ってこんなに毒舌だったのとちょっと意外でした。
仕事をして家庭をもって子供をもつ、家をたてる・・
これを立派な社会人というようだけれどこんなことは蟻でもやっている、
ちょっと並以上の生活ができるといってそれで
満足しているような人は蟻の弟子みたいなものだ・・とばっさり。
女性の地位がとても低かった当時、「男性は浮気してもよくて女性が浮気したら
離婚の理由になる・・なんてことは不公平ではないか?」とか。
「姑が嫁を苦しめようと思ったら自分がかつて嫁だった時に苦しめられたことを
思い出せばいい」とか。(^_^;)
政府と国民との関係、国法を遵守することの尊さ、諸外国との付き合い方、
数年前までは切り捨て御免がまかり通る封建時代にあった日本で
こんな近代的で合理的な考え方の人物が現れたことに明治という時代の
凄さを感じます。欧米に見習うべきところは見習っても、決して追従すべきではなく
日本の伝統的価値観も大事にするべき、ということも書かれています。
本当に日本人はしっかりとしなければ欧米列強の植民地にされてしまう、という
当時の時代背景からの危機感も伝わってくるようです。
有名な上の一文で始まる「学問のすすめ」は
「人間のくせに人間を毛嫌いするのはよろしくない」
という言葉で締められています。
一冊通してあっという間に読めてしまうほど面白かったです。
内容的にも人として品格を高め、どう生きるべきかという
本質的に大切なことが書かれており、ためになる内容だと思いました。
この一冊を買うお金と読む時間は決して
無駄にならないと思います。若い方には特に。
この人がなぜ一万円札の顔になっている方なのかも理解できると思います^^