
奈良市から奈良盆地の東縁を
初瀬街道まで南北に通じる約35キロメートルの古道、
山の辺の道に残る長岳寺は創建834年という古いお寺です。
先週の日曜日はこちらへ紅葉を観に行ってきました。
上の写真は楼門。(重文)
日本最古の鐘門であり、弘法大師当寺創建当初の唯一の建物だとのこと。
上層に鐘を吊った遺構があるので鐘楼門というそうです。
上層に鐘を吊った遺構があるので鐘楼門というそうです。
門の手前に旧地蔵院がありました。
かつて48ヶ坊あった塔頭のうち、唯一残っているものだそうです。
(こちらも重文)
室町時代の書院造の様式を残し、庭園も同時代のもの。

お寺に到着していきなり休憩。(^_^;)
お庭を眺めながら、お抹茶をいただきました。

お菓子は麦落雁です。
中に餡が入っていました。
山のお寺のお菓子らしく、素朴な味がしました。

2年前に滋賀県の百済寺に紅葉を観に行った時、
長岳寺が近畿の五大紅葉名所のひとつであることを知りました。
五大紅葉名所とは以下の通り。
1.国史跡 百済寺(滋賀)
2.大原 三千院(京都)
3.高雄 神護寺(京都)
4.談山神社(奈良)
3.高雄 神護寺(京都)
4.談山神社(奈良)
5.長岳寺(奈良)
このうち1、2、3は過去の紅葉シーズンに訪れています。
4の談山神社は知り合いの人が紅葉シーズンに出かけたら
すごい渋滞で駐車場に入るまで2時間も待ったと言ってたので
行き先候補から外しました。
それで5番目の長岳寺に行ってみよう、ということになりました。


境内にある放生池を囲む紅葉。
ここのお寺の紅葉は殆どが濃い赤色です。
当日は雲の多い日だったこともあってか、
期待していたような華やかさはなく、
どちらかというと、しっとり落ち着いた感じでした。
こちらは本堂。

この時期だけ公開される地獄絵図を拝見してきました。

9幅の軸から構成されている地獄図は、全体が壁一面の大きな絵になっています。
人が死んでから三途の川を渡り、
閻魔大王の裁きをうけ、
悪いことをした人は地獄へ落ち、
良いことをした人は極楽浄土へ行ける、
もし地獄に落とされたらこんな責め苦が待ってますよ、
という話が時系列?に描かれています。
解説して下さった方の話はとてもわかりやすくて興味深い内容のものでした。
人が死んで7日目に渡るという冥土への途中にある三途の川、
なぜ三途かというと、川中に3つの瀬があるからだそうです。
これらは流れの緩急が異なり、
生前の行いの善悪によって渡る瀬が違うのだそうです。
橋を渡ったら裁判官らしき人がずらりと並んでいます。
ここで7日ごとに生前の行いについて審理が行われます。
検事に相当する人がいて、その人の生前の悪事を暴きます。
大きな鏡が置いてあって、悪事を働いた人の場合は
その鏡に当時の映像が映されるという。(ーー;)
ちゃんと弁護士役の人もいて、
「この人は生前に良いこともしました」と弁護もしてくれるみたいです。
その時、善行の証拠となるのが、朱印帳なんだそうですよ。

ご朱印の数は、本人の信心深さを証明する証拠品だとか。
7日ごとの審理を終え、35日目に閻魔大王の裁きがあるそうです。
でも蚊を殺しても殺生の罪、ということになるのですから厳しいですね。
その7日後、42日目に再審があり、49日目に来世の行き先が決まるそうです。
人が亡くなって49日間、お線香を絶やさないのは、そのためなのですね。
有罪判決を受けた人たちの地獄は罪の重さによって地下に8種類。
下に行くほど、強烈な責苦が待ってます。
生前誰かに煮え湯を飲ませるようなことをした人は
地獄では獄卒から煮え湯(地獄では煮えた油)を飲まされ、
嘘をついた人は舌を抜かれていました。
人間がBBQのように焼かれていたり、
皮を剥がれていたり、なんともおどろおどろしい地獄図が。
見たい人はリンクこちらから。
よくもまあ、ここまで思いつくなあという責苦の数々が描かれています。
こんな拷問されたらすぐに死んでしまいそう。
でも地獄では既に死んでいるから、もう死ぬことがないんですね。
死ぬに死ねないのも地獄の苦しいところです。(-_-;)
昔の人はこの絵をみて、戒めとしていたんだろうと思います。
人間の心の裡には仏心もあれば、修羅の心もあります。
この世での人生においても十分にいろんなことがあるので
なるべく穏やかに行きたいものです。
お寺の近くに黒塚古墳という古墳があります。
平成9~10年の発掘調査で長大な竪穴式石室と
33面もの三角縁神獣鏡など副葬品が発見されたそうです。

隣接する展示館に複製の石室や神獣鏡等が展示されていましたが
この鏡に数年前、卑弥呼みたいな女性の顔が浮かんでいたとか?
そっちのほうがなんか怖いわ~と思ってしまいました。