
壇れいさんが尋ね、その素晴らしい手技を伝える
テレビ番組の内容を本にしたもの。
焼き物、ぬりもの、和菓子、和紙、着物など、
日本人ならではの繊細な感性と丁寧な仕事が
写真と共に紹介されていて、その美しい工芸品の数々は
ためいきがでるほど。目の保養にもなる一冊でした。
例えば輪島塗り。輪島の漆器制作は木地、下地、上塗り、
蒔絵、枕金など様々な職種に分かれているそうです。
人に例えると木地が骨で上塗りの漆が皮膚。
その間にある筋肉に相当するのが
0.5~0.75mmくらいの下地。
この筋肉を付ける下地作業がとても大切なものなんですね。
木地に漆を含んだ薄い綿の布を着せ、指で水をつけて
馴染ませます。更に「地の粉」をうるしに混ぜて塗ることで
軽いのに強く、しっとりした輪島塗ができるのだとか。
この「地の粉」というのは輪島市内の小峰山から掘り出される
珪藻土の一種を焼いて細かく砕いたものだそうです。
日本の伝統的な工芸品は、その土地ならではの自然条件と
自然が恵んでくれる材料と、
細やかな感性をもった職人さんの手技があってこそ
生みだされるものだということがよくわかります。
うるしは埃を嫌い、乾かすには適度な湿度が必要なので
うるしの上塗師の方は仕事場には普段は家族すら入れず
窓も開けず、上半身裸で仕事をしているそうです。
徹底的にこだわって上質な物を作ろうとされる職人さん方の
頑固なまでの物づくりのポリシーに清々しさを感じます。
93点紹介されている中で、特に印象に残ったのが
江戸切子の器でした。

ガラスにミリ単位の細かな文様が刻まれたものです。
まるで宝石のように美しくて。
それからもうひとつ、面白いなと思ったのが
京都の和菓子屋さんの食べられる抹茶茶碗。
数回このお茶碗でおうすを楽しみ、その後はしみた抹茶とともに
お干菓子としてバリバリと割って食べられるという。^^

こんな遊び心も素敵ですね(*^_^*)
本物がもつ美しさとか感動が写真からも十分伝わってくる一冊でした。