イメージ 1 仕事が夏休みに入りましたが、
いまひとつぱっとしない天気だったので
本を読んで過ごしました。
 
英国貴族に仕えた年老いた執事の過去の回想と、
旅先での出会い、再会を絡ませたモノローグ形式の小説です。
 
人生のある時期に至って、あの時、もしこうしていたら
人生はこんなふうになっていたのじゃないか、と
想像したりすることは
誰もが幾度となく経験することではないかと思います。
 
でも時計は巻き戻せない。
自分が正しいと信じていたことが実は誤りだった、と知る、
そんなこともあるかもしれない。
 
主人公が回想する1920~30年代、
品格に何よりも重きを置く古き良き英国貴族社会の落日と、
勃興するアメリカの新しい価値観が対照的に描かれています。
主人公の徹底したプロ意識、
自分の雇い主である侯爵に対する忠誠心が印象的。
 
最後のほうで誰かがこういいます、
「一日の中で一番素晴らしいのは夕暮れ時、
人生についてもそれは同じ・・・。」
 
自分もそんなふうに思えるのかな。
年を重ねてこの執事と同じくらいの年齢になった時に
もう一度読み返してみたいです。
 
「日の名残り」は1989年にブッカー賞を受賞した作品です。
日本語訳もかなり評価が高いですが、
時間もいっぱいあるし、原文の良さを堪能したかったので
英語で読みました。
構文が難解ですが、単語や背景はそれほど複雑ではなかったので
2日で読み終えることができました。
格調高いイギリス英語の響きにうっとりとしながら
頁を繰りました。
 
アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの配役で
映画化もされています。
映画のほうも未見なので時間があったらDVDを
借りてみたいです。
 
著者カズオ・イシグロについてはこちら
あらすじについてはこちら。
 
 
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