
奈良県の端っこのほう、三重県寄りにある
宇陀郡大宇陀町は飛鳥時代は「阿騎野」と呼ばれており
大和朝廷の御狩場の一つでした。
当時の狩りは薬用のための鹿狩りだったそうです。
鹿の若角をとることが狩りの目的だったのですね。
万葉の丘公園に行ってみました。
小高い丘の上にあり、きれいに整備された公園でした。
目立つものは休憩用に茅葺きの建物と、この石碑くらい。


石碑には柿本人麻呂の歌が詠まれていました。
「ひむがしの野にかぎろひの立つ見えて
かへり見すれば月かたぶきぬ 」
佐佐木信綱の揮毫によるものです。
柿本人麻呂(かきのもと ひとまろ)は当時の宮廷歌人で、
皇族や高級官吏らに同行して、この地にやってきたようです。
「かぎろい」というのは厳冬のよく晴れた早朝、
太陽光線のスペクトルによってみえる最初の陽光のことだとか。
この丘から柿本人麻呂は「かぎろひ」を見て、歌を詠んだと
されています。
旧暦11月17日には「かぎろいを観る会」が開催されているようです。
ここからは今でも豊かな自然が残る大宇陀を見下ろすことができました。
真冬には当時と同じようなかぎろいが立つのかもしれませんね。
帰り際にタイムカプセルを発見

ハレー彗星が日本で観測された1986年に埋めたものみたいです。
次回のハレー彗星回帰は2061年。

現在の大宇陀の風景です。
アスファルトの道路といくつかの建造物を省けば
往時の風景が想像できそう。

近くにある阿騎野人麻呂公園にも行ってみました。
中山正實画伯の壁画「阿騎野の朝」をもとに制作された柿本人麻呂像が
建っています。人麻呂の知的できりっとした表情が大変印象的でした。