
興福寺の国宝館を見学した後、薬師寺に向かいました。
狭い部屋での相席になってしまった塔の茶屋で、向かいに座っていた女性のお客さんが現在、薬師寺で玄奘三蔵院伽藍が公開中だということを教えてくれました。それなら行ってみようかということで行き先が決まったのです。実は興福寺も昼食をとるために車を停めたのが興福寺の駐車場だったから・・という理由から興福寺に行くことになりました。とても行き当たりばったりでしたが結果としては大当たりの観光になりました。
薬師寺は随分前に一度行ったことがあり、今回で二回目。写真は西塔です。東塔のほうは現在、お化粧直し中で大きなカバーの中に隠れていました。

薬師寺も世界遺産に登録されています。
こちらも大変古い歴史をもつお寺ですが
あまり知らないので詳しいことは飛ばします(汗)
広い敷地に伽藍が悠々と配置されているような感じです。
境内に足を踏み入れた瞬間、建物の
鮮やかな朱塗りが目を惹きました。
これらは再建されたものですが、
往時のお寺はこんなふうに
華やかな雰囲気があったのでしょうね。
いろいろ想像が膨らみます。
金堂からみた大講堂。京都のお寺にはない雰囲気ですね。

平山郁夫さんが30年をかけて製作されたという大唐西域壁画が
展示(お祀り?)されている玄奘三蔵院伽藍は更にこの奥にあり、
そこにたどりつくまでかなり歩きました。

玄奘三蔵は西遊記で有名な中国唐時代の僧侶です。
17年間にわたるインドでの勉学を終え、多くの経典を
唐に持ち帰り翻訳しました。
大唐西域壁画はその玄奘三蔵求法の旅を描いたもの。
この玄奘塔の後方にある壁画殿にありました。
作品は細長い館内の壁に沿って掛けられており、
縦2.2メートル、長さ49メートル、合計13枚の絵で、これは大変な迫力でした。
興福寺の仏像群を観た時も大変感激しましたが
シルクロードを描いた壮大な絵もまた素晴らしいとしか表現できません。

須弥山(しゅみせん)を描いた絵が3枚ありましたが
そのうちのひとつです。
空の青色と冠雪の白色のコントラストがとてもとても美しく、しばらく見入ってしまいました。
澄んだ空気と高い空、険しい山の姿からは
自然がもつ崇高な美しさと
過酷さの両方の印象を受けました。
須弥山の左右には高昌故城とバーミヤンの遺跡、
また東側と西側に嘉峪関とデカン高原が描かれています。
そして天井には群青色の空と、満天の星。
この深い青色はラピスラズリを顔料にしたもので
散らばる星は金箔が使われているそうです。
西域の壮大で静けさに包まれる夜が再現されているような感じです。
なんだか言葉もなくなってしまうような時間でした。
この壁画は今回きりではなく、何度も訪れて見つめたいと思いました。

この日はもうひとつ特別展示が。
国宝の吉祥天女画像です。
昔、日本史の教科書で観た記憶があるのみでしたが
こんなお宝まで拝見できました。

幸せで美しくなれるという?護符をいただいてきました^^
「天平美人のように」という表現はビミョーですが(笑)
この日に訪れた興福寺も薬師寺も偶然、行き先が決まったとはいえ
本当にたくさんの宝物を目にすることができ、とても充実した一日でした。